コラム
COLUMN
毛穴の「角栓」と聞いたことはあるけど、どのようなものなのか、どのようにケアすればいいのか、いまいちわからない方も多いかもしれません。
今回は毛穴の角栓とは何か、角栓の原因や適切な除去方法などについて詳しく解説していきます。毛穴の角栓に悩んでいる方は参考にしてみてください。
毛穴の角栓とは?
毛穴の角栓は、日々の洗顔などで取り除けなかった古い角質や皮脂が混ざり合い、硬くなったものです。
過剰な皮脂分泌とターンオーバーの乱れが原因で、皮脂腺から分泌された脂が毛穴のなかで古い角質と混ざり合い、小さな塊ができます。小鼻やあご、Tゾーンなどの皮脂の分泌過多な部位に出現します。
ターンオーバーされなかった角栓は毛穴をふさいで、肌表面からぽつぽつと飛び出して見えます。肌触りも、ザラザラとしてくるのが角栓の特徴です。
また、毛穴角栓はそのままにしておくと、どんどん広がっていくこともあります。
毛穴の黒ずみは角栓が原因
毛穴の黒ずみは、もともとは白かった角栓が酸化して黒くなったものです。こういった黒ずみ角栓ができると雑菌が繁殖しやすく、ニキビができやすくなります。
また、角栓を放置するとどんどん大きくなって毛穴を押し広げ、角栓が毛穴をふさぐことにより、ニキビの原因である「アクネ菌」が増殖し、ニキビ発生の原因にもなります。
角栓は、皮脂のみでできているのではなく、タンパク質を多く含むものなので、クレンジングや洗顔料だけでは、十分に取り除くことができません。
また、強すぎるピーリングなど誤ったセルフケアで角栓を取り除こうとすると肌を傷つけ、毛穴を悪目立ちさせてしまうこともあります。
間違った毛穴ケアにより、毛穴周りが炎症を起こして色素沈着している場合もあります。
角栓ができる原因とは?
毛穴の原因は、皮脂分泌やターンオーバーの乱れ、乾燥や加齢など、色々な要因があげられます。
治療方法は、個人の肌質や毛穴の症状によっても異なりますが、よくあるケースとしては、毛穴の汚れを取ろうとするあまり、自己流ケアや過剰な洗顔で毛穴の状態を悪化させてしまうことです。
角栓ができる5つの原因について、さらに詳しく説明します。
皮脂の過剰分泌
皮脂の分泌量が多いと、毛穴のつまりが発生しやすくなります。皮脂の分泌量には個人差がありますが、生活習慣等でホルモンバランスが崩れることでも分泌量は変わります。
また、洗浄力の高い洗顔料や温度の高いお湯で皮脂が過剰に洗い流されることは、肌の乾燥につながります。肌は皮脂分泌量を増やして乾燥を和らげようとするので、過剰な皮脂分泌を引き起こします。
そのほか、糖質・脂質の摂取過多でも皮脂量は増えるので、食生活にも十分に注意する必要があります。
メイクなどの汚れ
メイク汚れは古い角質と混ざりあい、毛穴のつまりを引き起こします。角質が反応するのは化粧品の油分なので、例えばファンデーションをきちんと落とせていないと、毛穴がつまる原因になります。
また、夏場によく使用される、汗などで落ちにくい「ウォータープルーフタイプ」の日焼け止めは、肌に残りやすいです。
自分では洗顔やクレンジングできれいに落としたつもりでも、肌に汚れが残っている可能性があります。毎日の洗顔やクレンジングをおろそかにして、メイクをきれいに落としきれていなかったりする方は、毛穴が詰まりやすくなります。
肌の乾燥
肌の乾燥も、毛穴のつまりを引き起こします。乾燥によって皮膚が硬くなると毛穴周りの柔軟性が失われ、角質や余分な皮脂などの出口を塞いでしまう可能性が高くなります。
そのため、たとえ皮脂の分泌量が多くなくても、皮脂が蓄積しやすくなり毛穴つまりの原因となってしまいます。
ほかにも乾燥肌の場合は、ターンオーバーで剥がれ落ちた角質が毛穴をつまらせる可能性もあります。
ターンオーバーの乱れ
日々、肌の表面を覆う角質は生まれ変わっており、この肌のサイクルを「ターンオーバー」と呼びます。
角質は外部からの刺激から肌を守ったり、水分を保持したりする役割を持っています。そのため、ターンオーバーのスピードが早すぎると、作られた角質は未成熟のまま、肌の表面に押し上げられることになります。
未成熟な角質ははがれ落ちづらいため、古い角質が溜まっていき、毛穴詰まりが起きやすくなります。
ターンオーバーの乱れを引き起こす要因は、加齢・乾燥や、睡眠不足・ストレスなどの生活習慣によるものなど、さまざまです。
適切なスキンケアや、生活習慣の改善を心がければ、ターンオーバーのサイクルを正常化することが可能です。
毛穴の広がり
肌を形成するコラーゲンやエラスチンは加齢によって減少します。すると、肌のたるみが進行して毛穴が縦長に伸びていきます。
そして、楕円形に伸びた毛穴は、角質がつまりやすくなっていきます。たるみ毛穴は、進行すると近くの毛穴同士がつながり、しわのように見えることもあります。
毛穴の広がりの進行を止めるには、後述する食生活などの生活の基礎部分以外にプラスしてスキンケアを行う必要があります。
角栓の除去でやってはいけない毛穴ケア
角栓が気になるからとって、頻繁に触ったり、間違ったケア方法をしたりしないように注意しましょう。
角栓を除去する際にやってはいけないケア方法について、以下で詳しく説明します。
角栓を押し出す
角栓を無理に指や器具で押し出すと、毛穴が広がってしまったり肌を傷つけたりする可能性があります。
例えば、ピンセットや爪で抜き取ったりすることです。力任せにケアすることはおすすめできません。かえって毛穴トラブルを悪化させる可能性があるので注意が必要です。
洗顔時にゴシゴシと強く洗う
毛穴汚れや角栓を除去しようと洗顔時に肌をゴシゴシと強く洗う方もいますが、摩擦によるダメージを与えてしまうので、おすすめはできません。
長い時間かけて洗顔やクレンジングを行うことも、かえって肌や毛穴にダメージを与えてしまうので避けましょう。
また、スキンケアでは、洗顔は大切なポイントになってきます。過剰な洗顔や、間違った洗顔は肌にダメージを与え、乾燥に伴うバリア機能の低下、皮脂の分泌過多など、さまざまな肌トラブルを引き起こします。
酸化した皮脂や汚れを落とすことが、そもそもの洗顔の目的ですので、過度な洗顔を行わないようにしましょう。
吸着力が強すぎるパックを頻繁に使う
毛穴パックや角栓パックと呼ばれる商品は、吸着力が強いため、使用頻度や使用方法については、注意が必要です。
一瞬で角栓を除去できるのは嬉しいことですが、適切な使い方をしなければ毛穴が傷ついたり、広がったりする恐れがあります。毛穴パックは必要以上に行わず、適度に留めるようにしましょう。
角栓の除去(ケア)方法
ここからは角栓除去に効果が期待できる、毛穴のケア方法を紹介します。以下で、詳しく解説していきます。
蒸しタオルで毛穴を開く
蒸しタオルを使い、毛穴が開いた状態でケアしましょう。蒸しタオルの蒸気は皮下組織の血流を促進するため、蒸しタオルを使ったケアは積極的に取り入れると良いです。
また、蒸しタオルは洗顔後に行いましょう。清潔なタオルを水で濡らして軽く絞り、電子レンジ(500~600w)で30秒~60秒ほど加熱すると、蒸しタオルができます。週2回程度を限度に行いましょう。
角栓をオイルで柔らかくする
角栓をオイルで柔らかくすると、毛穴の外へ出やすくなります。たっぷりとオイルを染み込ませた綿棒でくるくると円を描くようにケアします。
オイルは、保湿用オイルのほか、ホホバオイルやベビーオイルなどでもかまいません。
優しく洗顔をする
しっかりと泡立てた洗顔を肌にのせ、泡を滑らすように優しく洗いましょう。直接肌と手が触れないように意識してください。
ぬるま湯の予洗いも大切です。泡が肌に残らないように、しっかりとすすぎましょう。
水や化粧水で毛穴を引き締める
毛穴が開きっぱなしにならないように、冷水で毛穴を引き締めます。肌の引き締め効果に期待ができる化粧水を活用しても良いでしょう。
保湿する
洗顔や毛穴の引き締めなど一通りの毛穴ケアが終わったらしっかりと保湿を行いましょう。
化粧水だけではなく、乳液やクリームで肌の水分が蒸発しないようにフタをすることも大切です。
ヘパリン類似物質は、高い保湿効果に期待ができます。敏感肌や乾燥肌の方にもおすすめです。
角栓を作らないためには内側のケアも大切
角栓を作らない健康的な肌を目指すために、体の内側からケアすることが大切です。普段の生活で気を付けたいポイントを3つご紹介します。
バランスの良い食事
カフェインの含まれた飲料や脂質の多いファストフードは肌の老化を早める傾向にあるので、角栓のできない健康的な肌を目指すためにも、美肌ケア効果に期待ができる食べ物を摂取するよう心掛けましょう。
また、ビタミンCや鉄分、タンパク質は美肌には欠かせない栄養素です。ビタミンが含まれたものを積極的に摂取したり、納豆や卵などタンパク質が多く含まれた食材を多く取り入れたりしながら工夫すると良いでしょう。
水分をこまめに摂る
水分不足になると血行不良が起こり、肌のターンオーバーを乱します。普段から意識的に水分補給することが大事です。のどが乾く前に水分を摂取するのが望ましいでしょう。
睡眠をしっかりとる
睡眠不足やストレスは、自律神経の乱れを引き起こす要因となります。自律神経が乱れると、ターンオーバーが正常に働きません。
普段からしっかりと睡眠を取り、ストレスも適度に発散させることが大切です。
角栓は適切なケアで撃退!毛穴レスの美肌を目指そう
角栓は適切な洗顔方法や毛穴ケア方法で、改善できる可能性があります。
間違ったケアを行っていた方はケア方法を見直してみてください。体の内側からのケアも忘れずに、毛穴がきれいな肌を目指しましょう。
皮フ科かわさきかおりクリニック院長。医学博士、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本抗加齢医学会専門医。
兵庫医科大学病院初期研修医、皮膚科入局からキャリアをスタートし、病院やクリニック勤務を経て、現クリニックを開院。 皮膚科専門医として、女性医師として、母として、患者さんの心と身体に寄り添うことを信条としている。
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川﨑医師よりコメント
毛穴つまりの皮脂は脂の塊なので、水分より油分でケアするほうがよくなじみ、無理なく除去することが期待できます。その後に優しく綿棒で取り除くのがおすすめです。