コラム
COLUMN
思春期などに誰もが一度は経験したことがある肌の悩み「ニキビ」。一般的に皮脂が多く分泌されたオイリーな状態で起こりやすいと思われている事が多いですが、実際には自分の肌に合っていないカサカサ肌対策が原因となっている事があります。「乾燥肌は保湿するとニキビができる?」というタイトルに興味を持たれた方は一緒に内容を確認していきましょう。
乾燥肌はニキビができやすい?
ニキビは、主に毛穴に皮脂が詰まってしまうことが原因とされています。思春期においては、ホルモンの関係などで皮脂の分泌が多くなる時期ですので、ニキビで悩む方が多くなります。一方、思春期後に発症するざ瘡(いわゆる「大人ニキビ」)の場合は乾燥が原因となるケースが多いといわれています。なぜ乾燥肌がニキビを誘発してしまうのでしょうか。
乾燥肌でニキビができる主な原因
肌の表面に存在する皮脂は、より内部に保持されている水分が過度に蒸発してしまわないように抑えてくれる働きがあります。そのため、肌が乾燥しているとカラダが認識すると皮脂を分泌し、乾燥を防ごうとするメカニズムが働きます。乾燥状態が続いていると皮脂分泌も過剰となってしまい、それが毛穴詰まりの原因となってしまうことがあります。また、乾燥肌はターンオーバーのリズムも乱してしまいます。古い角質が長く肌表面に残ってしまうと、同じく毛穴をふさぎ、細菌が増殖しやすい環境を作り出してしまいます。
●バリア機能が低下する主な要因
健康な肌にくらべ、乾燥肌は皮膚のバリア機能が低下した状態となります。ニキビを含め様々な肌トラブルの原因となってしまうため、バリア機能を低下させないような生活や対策が必要です。多くは食生活や運動などの生活習慣に疲労やストレス、睡眠不足などの要因が加わり、様々な要因がバリア機能に影響することがあります。季節を問わず悩まされる原因が存在する限り、しっかりとバリア機能を維持する対策がニキビ対策にもつながります。
乾燥肌だから保湿したのにニキビができてしまう…その原因とは?
肌が乾燥した状態でニキビができやすくなるメカニズムは理解いただけたと思います。では、なぜその対策である保湿がニキビの原因となってしまうことがあるのでしょうか?それは、単純に化粧水などで水分を補ってあげるというだけが決して正解ではないケースがあるためです。最近では、肌内部は乾燥しているのに、それを防ぐために皮脂が多く分泌され見た目はベタベタとしているような状態(「インナードライ』と呼ばれる状態)の方が増えています。このような場合に、水分だけを補給してしまうと肌の水分/油分のバランスがより崩れてしまい、乾燥肌が悪化してしまう事があります。これが「保湿しているのにニキビができてしまう」パターンの1つです。
保湿や洗顔、正しいスキンケアを行うことが大切
ただ水分を補うだけや、ただ表面を乳液などでカバーするだけでは、適切な乾燥肌対策になっていないことがあります。自分の肌の状態をなるべく理解し、基本となる対策はしっかりと押さえておきましょう。
●洗顔後にすぐ保湿する
洗顔後、肌表面の皮脂量は少なくなっており、保湿成分も流出しやすい状態となっています。非常に水分が蒸発してしまいやすい状態で、しばらく保湿もせずに放置していると、場合によっては洗顔前よりも水分量が減少してしまうこともあります。なるべく早いタイミングでの保湿ケアは、正常な肌を保つことの第一歩となります。
●洗顔は適切な回数を守る
見た目の皮脂量が気になり洗顔を繰り返せば、水分と油分のバランスも崩れやすくなり、ニキビの悪化につながる可能性もあります。過剰なゴシゴシ洗いは禁物ですし、ニキビ治療のガイドラインでは、洗顔は1日2回、泡立てた洗顔料を使って優しく洗うことが推奨されています。
●保湿する際には使用量を守る
保湿剤はそれぞれ異なる特性をもっており、成分やその成分配合割合、テクスチャの性質などによって適正量が定められています。多く使えば効果が高くなるというものではありません。もし使用量に迷うようなことがあれば、一度、販売店やメーカーに相談してみましょう。
●保湿剤選びに気を付け適度な油分で潤いを保つ
化粧水やクリームでしっかり保湿することはもちろん大切ですが、保湿剤は自身の肌に合わせて、ある程度水分と油分のバランスで相性のよいものを使用する、もしくは組み合わせて使用する必要があります。ただこのような保湿ケア製品は、あくまでもニキビの原因のひとつである乾燥肌の改善に役立つものであり、ニキビ治療薬とは区別して考えなければいけません。改善しないからといって漫然と使用してしまうと症状の悪化の原因となってしまう可能性もありますので注意してください。
乾燥肌でニキビができる方は保湿の方法にも気をつけよう!
乾燥がニキビの原因となっている場合、誤った保湿によりニキビができてしまうこともあります。保湿はしっかり行うべきではありますが、正しい方法で行うことが大切です。間違ったケアで悪化してしまうことがありますので、場合によっては自己判断せず一度皮膚科で相談することも検討してください。
金沢医科大学医学部を卒業後、大学病院で小児科、市中病院で内科医として勤務。皮膚科、美容皮膚科でも研鑽を積み、2018年クリスタル医科歯科クリニックにて内科、アレルギー科、美容皮膚科を開設。内科院長として勤務。
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乾燥肌治療薬
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第2類医薬品
- クリーム
- ローション
- スプレー
- Hクリーム
- 泡フォーム
中島医師よりコメント
ニキビはターンオーバーの乱れにより毛穴がつまってしまうことが原因です。ターンオーバーは乾燥肌や食生活、睡眠不足でも崩れてしまいます。日常生活を見直して、保湿をしっかりと行いましょう。ニキビの悪化がみられる場合は医療機関で相談しましょう。