
コラム
COLUMN

肌の乾燥やかゆみが気になり、ヘパリン類似物質を配合した保湿剤や治療薬を使っている方のなかには、「毎日使い続けても大丈夫なのか」「使い続ける弊害はあるのか」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
今回は、ヘパリン類似物質を長期間使い続けて良いのかどうかと、使用時の注意点をわかりやすく解説します。加えて、ヘパリン類似物質を配合した治療薬の種類や適切な使い方も紹介するため、あわせて参考にしてください。
ヘパリン類似物質を使い続けるとどうなる?
ヘパリン類似物質とは、肝臓で生成される糖類の一種「ヘパリン」に似た成分のことです。ヘパリン類似物質を配合した乾燥肌治療薬は、顔・手足の乾燥などの改善に効果を発揮します。
ヘパリン類似物質は、毎日肌に使い続けても問題ありません。継続使用することで、肌を外部刺激から守る「バリア機能」の改善やうるおいキープなど、さまざまな効果が期待できます。
ただし、ヘパリン類似物質を含む保湿剤や治療薬を継続使用する際には、いくつか注意すべき点もあるため、事前に注意点を確認しておきましょう。
ヘパリン類似物質を使い続ける際の注意点
ヘパリン類似物質の使用時は、副作用としてまれに皮膚炎や肌の赤み、かゆみ、発疹、皮膚への刺激感などが現れることがあります。異常を感じたらすぐに使用を中止し、症状がひどければ医療機関を受診しましょう。
なお、ヘパリン類似物質には血液の凝固を防ぐ作用があるため、血友病や血小板減少症など出血性の血液疾患のある方や、わずかな出血でも重大な結果をきたすことが予想される方、出血しやすい方は、事前に医師や薬剤師に相談してください。
また、妊娠・授乳中の方や過去に薬を使用してかゆみ、発疹などのアレルギー症状が出たことがある方も、事前に申し出ましょう。持病などでほかの薬を服用している場合は、互いに作用を強めたり、弱めたりする可能性もあるため注意が必要です。
ヘパリン類似物質を含む治療薬に期待される作用・効果
ヘパリン類似物質には、「保湿」「血行促進」「抗炎症」の3つの作用があります。
同じ保湿剤であるワセリンが肌の表面を覆って水分の蒸発を防ぐのに対し、ヘパリン類似物質は、肌内部の角質層まで浸透して働きかけるため、保湿効果が持続しやすいとされています。
そもそも健康な肌の場合、角質層がバリアの役割を果たしていて、肌の内側からの水分の蒸発や、外からの刺激を防いでいます。
しかし、角質層は紫外線や乾燥などが原因で傷ついたりはがれたりしやすく、そうなると肌のうるおいも逃げてしまいます。そうした肌にヘパリン類似物質を継続して使用することで、角質層の水分保持機能を改善し、正常なバリア機能を取り戻すように促してくれます。
慢性的な肌の乾燥や炎症、肌荒れなどの改善のほか、血行障害による疾患にも効果が期待できます。
ヘパリン類似物質はどのような症状の治療に使われる?

先述のとおり、ヘパリン類似物質を含む治療薬には保湿作用と血行促進作用があります。そのため、医療現場では、アトピー性皮膚炎や進行性指掌角皮症の治療をする際に、皮膚の保湿などを目的に処方されることが多いです。
また、しもやけなど血行障害による痛みや炎症をやわらげたり、打撲や捻挫などの腫れや痛み、筋肉痛、関節痛を緩和したりする際にも使われています。さらに、ケロイドの治療や予防にも用いられます。
ヘパリン類似物質を配合した乾燥肌治療薬の種類
ヘパリン類似物質を配合した乾燥肌治療薬には、クリームやローションなど、いくつかのタイプがあります。以下では、ヘパリン類似物質を含む乾燥肌治療薬のタイプごとの特徴を詳しく見ていきましょう。
なお、健栄製薬のオンラインショップでは、ヘパリン類似物質を0.3%配合した乾燥肌治療薬「ヒルマイルド」シリーズを取り扱っています。
今回紹介する4つのタイプの乾燥肌治療薬も揃っているため、用途や好みに合わせて、最適な製品の利用を検討してみてください。
https://kenei-online.shop/collections/healmild
クリーム
クリームタイプは、伸びが良く全身に塗りやすいことが特徴です。
油性成分の中に水性成分を閉じ込めた「油中水型[w/o型]」で、カバー力や保水力に優れています。水に強いため、水仕事による手荒れが気になる方にもおすすめです。
ローション
さらっとしたテクスチャーの乳剤性ローションタイプです。水性成分の中に油性成分を閉じ込めた「水中油型[o/w型]」で、ベタつきにくく広範囲に塗布できます。
頭や顔に使用したい方にもおすすめです。
泡
成分が泡フォームで出てくるタイプです。油分を含まないさっぱりとしたテクスチャーで、ローションタイプと同じく広範囲に塗布できます。
全身にまんべんなく塗布したい方や、油分によるベタつきが苦手な方にとくにおすすめです。
スプレー
成分が霧状に出てくるタイプです。逆さにしても使えるため、背中などの手が届きにくい場所に治療薬を塗布したい方に向いています。
肌なじみが良く、広範囲に使いやすいことも特徴です。
ヘパリン類似物質を配合した乾燥肌治療薬の使い方

ヘパリン類似物質を配合した乾燥肌治療薬は、手を洗った後、指先や手のひらを使って優しく塗ってください。
強くすり込むと肌への刺激になることがあるため、注意が必要です。皮膚のしわの方向に沿って塗ると伸ばしやすいでしょう。
初めて使用する場合は、まずは狭い範囲から試し、刺激を感じたり赤みが出たりしたら、すぐに使用を中止して医師や薬剤師に相談しましょう。
また、傷口や皮膚のただれているところには塗らないようにしてください。目の周辺に使用する場合は、目の中に入らないように注意が必要です。誤って目の中に入った場合には、ただちにきれいな水で洗い流し、違和感があれば医師に相談してください。
塗るタイミングは?
入浴後5~10分以内は皮膚が柔らかく、乾燥肌治療薬や保湿剤がなじみやすいといわれています。お風呂からあがった後、なるべく早く塗りましょう。
そのほか、朝起きたときや水仕事の後、トイレの後、寝る前など、1日数回、汗や汚れを落とした後の清潔な肌に塗ってください。
塗る量は?
ヘパリン類似物質を配合した乾燥肌治療薬の使用量は、1FTU(Finger Tip Unit)を基準に判断します。1FTUは約0.5gで、成人の手のひら2枚分の面積に塗る量に相当します。
1FTUの測り方は、先述した治療薬のタイプごとに以下のとおりです。
- クリーム:人差し指の先端から第一関節までの長さ
- ローション:1円玉大
- 泡:製品のキャップ半分程度の大きさに噴出した量
- スプレー:5プッシュ
成人の体の部位ごとに使用する量は、以下の目安を参考にしましょう。
- 胸・腹:各7FTU
- 背中・お尻:各7FTU
- 顔・首:各2.5FTU
- 片腕:3 FTU
- 太もものつけ根から足首(片側):6FTU
- 足首からつま先(片側):2FTU
使用時は、少し多いと感じる量を塗ると効果的です。塗布後の状態でいうと、皮膚の表面がテカり、ティッシュペーパーが張りつく程度を目安としましょう。
保管方法は?
使用後は、しっかりとキャップを閉め、高温、直射日光を避けて、なるべく涼しいところに保管してください。子どもの手が届かないように注意しましょう。
ヘパリン類似物質は毎日使い続けてもOK!使いやすい種類の製品を選ぼう
ヘパリン類似物質を配合した乾燥肌治療薬は、毎日使い続けても問題ありません。
ただし、まれに副作用が出る場合があるため、異常を感じたらすぐに使用を中止し、症状がひどければ医療機関を受診しましょう。
なお、ヘパリン類似物質を配合した乾燥肌治療薬には、クリームやローション、泡、スプレーなど複数の種類があります。使用時は、用途や使い勝手の好みに応じて、自身に合った製品を選びましょう。

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- クリーム
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- スプレー
- Hクリーム
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