コラム
【医師監修】乾燥肌に効果的な対策法とは? 内と外から肌をしっかり保湿ケア
2022.12.05|乾燥肌・スキンケア
乾燥肌を改善したいと考えたとき、化粧水や美容液によって外側から潤いを与えるケアに集中的に取り組む人が多いのではないでしょうか。しかし実は、内側から水分を与えることも重要で、さらには与えられた水分を肌内部にキープできるよう、肌そのものも整えておく必要もあります。今回は、肌を内と外から潤し、肌そのものも健やかに整える方法について解説します。
乾燥肌の症状と原因
●肌と水分の関係
人間の体は、体重の約65%を水分が占めており、このうち、約15%は肌に蓄えられています。肌は一番外側から「表皮」「真皮」「皮下組織」の3層構造になっていますが、それぞれの層に十分な水分が蓄えられていることで、良好な状態が保たれているのです。この時、特に重要な役割を担っているのが、表皮の最も外側にある「角質層」です。角質層がバリアとなることで、肌内部からの水分蒸発を防ぐとともに、細菌や花粉といった外部刺激から肌を守る役割を果たしています。こうした働きは肌の「バリア機能」と呼ばれ、このバリア機能が整っていることで、肌はみずみずしく潤い、ハリや弾力のある状態が保たれるのです。
●乾燥肌の症状
肌を健康な状態に保つには、バリア機能がしっかり働き、肌内部に十分な量の水分が蓄えられていることが大切です。ところが、何らかの要因でバリア機能が低下すると、肌内部に水分を保持することができなくなり、肌が乾燥してしまいします。こうした状態は「乾燥肌」と呼ばれますが、肌が乾燥した状態では、カサカサとした手触りになり、肌が特に薄い目元や口元はシワっぽくなります。さらに乾燥が進行すると、白く粉を吹いた状態になり、ヒリヒリとした感覚やかゆみ、赤みなどを生じることもあるようです。
●乾燥肌の原因
先に解説した通り、乾燥肌とは肌のバリア機能が低下し、肌が水分不足になっている状態です。乾燥肌の原因はさまざまですが、主には以下のものが考えられます。
・間違ったスキンケア
洗浄力の高いクレンジングや洗顔料を使っていると、汚れと合わせて、肌の潤い維持に必要な皮脂まで落としてしまい、乾燥肌につながることがあります。また、少量のクレンジング剤で、肌をこすりつけるように洗ったり、洗顔後にタオルでゴシゴシ拭き取ったりすることでも肌に摩擦が生じます。角質層が傷つけられるので、バリア機能が低下し乾燥肌になってしまうこともあるようです。
・体内の水分量の低下
もともと肌は1カ月前後の周期で古い細胞から新しい細胞へと生まれ変わる「ターンオーバー」という代謝の仕組みを持ちます。このターンオーバーが正しく行われることで、バリア機能も維持されます。しかし、激しい運動の後や夏の猛暑日など、たくさん汗をかくと体内の水分が大量に失われます。体内の水分が不足した状態では、血液の粘度が高まり、血管を流れにくくなるため、血行不良が起こりやすくなります。それにより、新陳代謝が悪くなるのでターンオーバーが滞り、バリア機能も崩れやすくなってしまうのです。その結果、肌の水分は蒸発し、乾燥肌が引き起こされます。
・睡眠不足やストレス
肌のターンオーバーは睡眠不足や、ストレスによっても滞ります。睡眠不足やストレスで自律神経が乱れることで、正常なターンオーバーが行われにくくなり、乾燥肌が引き起こされてしまうのです。
・栄養不足
潤いのある肌を保つには、肌の主成分となるタンパク質、肌を健やかに保つビタミンA、肌の新陳代謝を促すビタミンB2やB6、肌のバリア機能を正常に保つ必須脂肪酸などの栄養素が欠かせません。食生活の乱れや極端なダイエットなどによってこれらが不足すると、乾燥肌を招く可能性があります。
・加齢
人間の肌は20歳をピークに、バリア機能に必要な成分の分泌が減少し始めるといわれています。さらに、肌のターンオーバーも加齢とともに乱れがちになり、肌が乾燥しやすくなってしまうと考えられています。
乾燥肌の対策
乾燥肌はさまざま原因によって引き起こされることが分かりました。こうした乾燥肌の予防・改善には、まずは日々の正しいスキンケアによって、肌の外から水分を与えるとともに、内側からも水分補給を行い、さらに、与えられた潤いをキープできるよう、肌の健康を維持することが重要です。続いて、具体的な対策について解説しますので、ぜひ実践してみてください。
【対策①】丁寧なスキンケアで、肌を外側から潤す
乾燥肌の場合、毎日のスキンケアは保湿力の高いアイテムで丁寧に行うことが大切です。洗顔時は、洗顔料をしっかりと泡立てて、肌を手でこすらないよう優しく洗浄してください。洗顔後、やさしく水分を拭き取ったら、ヒアルロン酸やセラミド、グリセリンなど保湿剤が配合された化粧水や美容液で肌を保湿しましょう。この時、香料や防腐剤、アルコールなどを含まない、低刺激のものがオススメです。化粧水や美容液で肌に潤いを与えた後は、仕上げに乳液やクリーム、白色ワセリンなどで、潤いをしっかりキープするのもポイントです。
【対策②】水分補給で、肌を内側から潤す
乾燥肌を予防するには、こまめな水分摂取も大切です。ポイントは、のどが渇く前に摂取すること。のどが渇きを覚える頃には、体はすでに水分不足に陥っているため、肌の潤いも失われつつあります。少量ずつ、こまめに水分摂取しましょう。なお、コーヒーや紅茶など、カフェインを含んだ飲み物は利尿作用があり、かえって体内から水分の排出を促してしまいます。水や麦茶をはじめ、ビタミンを含むハーブティーやフレッシュジュースなどがオススメです。また、冷たい飲み物を飲み過ぎてしまうと、体を冷やし、新陳代謝を悪くしてしまいます。常温に戻した状態で飲んだり、温かい白湯や生姜湯を選んだりするとよいでしょう。
【対策③】肌の健康を保ち、潤いをキープ
肌の内と外からたっぷり水分を与えても、肌そのものの状態が悪ければ、潤いをキープすることはできません。肌の健康を保つには、ターンオーバーの周期が乱れないよう、睡眠不足とストレスを解消することが大切です。規則正しい生活を心がけ、適度な運動や趣味を楽しむことで、健やかな体と心を維持しましょう。
また、栄養補給によって、健康な肌づくりを促すことも重要です。肌の原料となるタンパク質をはじめ、肌の新陳代謝を促し、健やかな肌へと導いくビタミンB2やB6、ビタミンA、ビタミンCを積極的にとりましょう。タンパク質は肉、魚、大豆など、ビタミン類はニンジンや小松菜などの緑黄色野菜、ビタミンCはキウイやイチゴなどのフルーツに豊富に含まれます。
さらに、肌の潤いを保つには、肌の表面を皮脂でガードすることも大切です。皮脂のもととなる必須脂肪酸を含む、亜麻仁油やエゴマ油など、良質な油を適度に摂取しましょう。
まとめ
乾燥肌を改善するには、肌の表面はもちろん、肌の内部にも十分な水分を与えることが大切です。さらに肌そのものも、バリア機能の整った健やかな状態でなければ、せっかく与えた水分もキープできません。今回解説した内容を参考に、効果的に乾燥肌対策をしましょう。
- 監修者
- 医師・木村眞樹子
都内大学病院、KDDIビルクリニックで循環器内科および内科として在勤中。内科・循環器科での診察、治療に取り組む一方、産業医として企業の健康経営にも携わっている。総合内科専門医。循環器内科専門医。日本睡眠学会専門医。ビジョントレーニング指導者1級資格。
木村医師よりコメント
高価な基礎化粧品や新しい成分などに眼をとらわれがちですが、スキンケアは肌の外からだけでなく内側も一緒に整えてあげることが必要です。肌の状態は自身の生活習慣の結果が表れていると考え、まずは充分な水分や、バランスのよい食事など生活習慣を整えてみてください。これにあわせて外側からの適切なスキンケアを行うことで、健やかな身体と肌を得ることができます。