便秘の種類とそれぞれの原因
病態から大腸通過正常型と大腸通過遅延型と便排出障害に分類されます。
器質性便秘
狭窄性
原因として腫瘍性疾患(大腸癌、腹腔内腫瘍による壁外性圧迫など)と非腫瘍性疾患(クローン病、虚血性大腸炎など)があります。
非狭窄性
-
排便回数減少型
大腸が慢性的に著明な拡張を呈し、糞便の大腸通過が遅延して排便回数や排便量が減少する便秘。
原因として巨大結腸などがあります。腹部X線検査や注腸X線検査等で大腸の著明な拡張を慢性的に認めることで診断します。 -
排便困難型=器質性便排出障害
直腸の形態的変化に伴って、直腸にある糞便を十分量かつ快適に排出できない便排出障害のために、排便困難や不完全排便による残便感を生じる便秘。
原因として直腸瘤、直腸重積、巨大直腸症、小腸瘤、S状結腸瘤などがあります。排便造影検査やバルーン排出検査等で診断され、軟便でも排便困難や不完全排便を生じる便排出障害であり、器質的病態が原因であるため器質性便排出障害と呼ばれます。
機能性便秘
排便回数減少型
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大腸通過遅延型
大腸が糞便を輸送する能力が低下しているために排便回数や排便量が減少する便秘。原因として、特発性(原因不明)、症候性、薬剤性などがあります。大腸通過時間検査で大腸の輸送能が低下していることで診断します。
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大腸通過正常型
大腸が糞便を輸送する能力が正常にもかかわらず排便回数や排便量が減少する便秘。原因として、糞便の元となる食事摂取量や内容(食物繊維成分)が少ないために糞便量が減って排便回数が減少し、硬便のために排便困難等の便秘症状を呈する状態が挙げられます。大腸通過時間検査で大腸の輸送能が正常であることで診断しますが、大腸通過時間検査自体の診断能による偽陰性(本当は大腸通過遅延型であるにもかかわらず、正常型と診断される場合)の可能性もあります。
排便困難型
-
大腸通過正常型
排便回数や排便量が減少していないにもかかわらず便が硬く、硬便のために排便困難や過度の怒責を生じる便秘。
酸化マグネシウム等で軟便化すれば排便困難症状が消失する点や、排便造影検査を施行すれば疑似便を迅速かつ完全に排出できる点が特徴です。 -
機能性便排出障害
機能的な病態によって、直腸にある糞便を十分量かつ快適に排出できない便排出障害のために、排便困難や不完全排便による残便感を生じる便秘。原因として骨盤底筋協調運動障害、腹圧(怒責力)低下、直腸感覚低下、直腸収縮力低下などがあります。排便造影検査やバルーン排出検査等で診断され、軟便でも排便困難や不完全排便を生じる便排出障害であり、機能的病態が原因であるため機能性便排出障害と呼ばれます。これに対して、軟便でも排便困難感や残便感を訴える症例に排便造影検査を施行しても、擬似便が迅速かつ完全に排出されて、便排出障害の所見を認めない場合があります。そういった症例は、強迫観念のために、「本来体外に排出すべき糞便」が直腸内に存在しないにもかかわらず、残便感(偽の便意)を訴えて過度に怒責したり頻回にトイレに行ったりする排便強迫神経症の可能性があり、真の便秘症ではありません。
慢性便秘の分類
原因分類 | 症状分類 | 分類・診断のための検査方法 | 専門的検査による 病態分類 |
原因となる病態・疾患 | |
---|---|---|---|---|---|
器質性 | 狭窄性 | ー | 大腸内視鏡検査、注腸X線検査など | ー | 大腸癌、クローン病、虚血性大腸炎など |
非狭窄性 | 排便回数減少型 | 腹部X線検査、注腸X線検査など | ー | 巨大結腸など | |
排便困難型 | 排便造影検査など | 器質性便排出障害 | 直腸瘤、直腸重積、巨大直腸、小腸瘤、 S状結腸瘤など |
||
機能性 | 排便回数減少型 | 大腸通過時間検査など | 大腸通過遅延型 | 特発性 症候性:代謝・内分泌疾患、神経・筋疾患、膠原病、便秘型過敏性腸症候群など 薬剤性:向精神薬、抗コリン薬、オピオイド系薬など |
|
大腸通過正常型 | 経口摂取不足(食物繊維摂取不足を含む) 大腸通過時間検査での偽陰性 など |
||||
排便困難型 | 大腸通過時間検査、排便造影検査など | 硬便による排便困難・残便感 (便秘型過敏性腸症候群など) |
|||
排便造影検査など | 機能性便排出障害 | 骨盤底筋協調運動障害 腹圧(怒責力)低下 直腸感覚低下 直腸収縮力低下など |
- 器質性
(狭窄性) -
分類・診断のための検査方法:
大腸内視鏡検査、注腸X線検査など
原因となる病態・疾患:
大腸癌、クローン病、虚血性大腸炎など
- 器質性
(非狭窄性) -
排便回数減少型
分類・診断のための検査方法:
腹部X線検査、注腸X線検査など
原因となる病態・疾患:
巨大結腸など
排便困難型
分類・診断のための検査方法:
排便造影検査など
専門的検査による病態分類:
器質性便排出障害
原因となる病態・疾患:
直腸瘤、直腸重積、巨大直腸、小腸瘤、S状結腸瘤など
- 機能性
-
排便回数減少型
分類・診断のための検査方法:
大腸通過時間検査など専門的検査による病態分類:
大腸通過遅延型
原因となる病態・疾患:
特発性
症候性:代謝・内分泌疾患、神経・筋疾患、膠原病、便秘型過敏性腸症候群など薬剤性:向精神薬、抗コリン薬、オピオイド系薬など専門的検査による病態分類:
大腸通過正常型
原因となる病態・疾患:
経口摂取不足(食物繊維摂取不足を含む)大腸通過時間検査での偽陰性 など
- 機能性
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排便困難型
分類・診断のための検査方法:
大腸通過時間検査、排便造影検査など
専門的検査による病態分類:
大腸通過正常型
原因となる病態・疾患:
硬便による排便困難・残便感(便秘型過敏性腸症候群など)分類・診断のための検査方法:
排便造影検査など
専門的検査による病態分類:
機能性便排出障害
原因となる病態・疾患:
骨盤底筋協調運動障害、腹圧(怒責力)低下、直腸感覚低下、直腸収縮力低下など
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