酸化マグネシウムについて
酸化マグネシウムの歴史
酸化マグネシウムは古来より使われてきた制酸剤であり、副作用の少ない緩下剤として利用されてきました。歴史を辿ると、1823年にドイツ人医師であるフィリップ・フランツ・フォン・シーボルトが来日した際に数種の薬品とともに麻倶涅矢亜(マグネシア、酸化マグネシウム)を日本に持ち込んだとされています。その後、シーボルトの門人である高良斎がシーボルトの講義をまとめた「薬品応手録」によって、その使い方が各地の医師に広められました。それから約60年後の1886年、酸化マグネシウムは日本薬局方に収載され、以来、100年以上にわたって服用されています。
酸化マグネシウムのいま
現在、酸化マグネシウムはその安全性や経済性、依存性の低さから、医療機関において便秘の第一選択薬として用いられています。生活習慣や食生活の改善を行っても、症状が改善されない場合に薬物療法が行われますが、その際にも、まず、酸化マグネシウムなどの塩類下剤から治療がスタートし、症状が改善しない場合には、膨張性下剤、刺激性下剤などが用いられます。このように酸化マグネシウムは現在も医療現場で頻繁に用いられている下剤であり、年間約1,000万人の患者さんが服用するなど、多くの方々に親しまれているお薬です。
酸化マグネシウムは天然由来だから安心
「酸化マグネシウムE便秘薬」の有効成分である酸化マグネシウムは、実は、瀬戸内海の海水と国産の石灰石から作られた天然由来の成分から作られています。以下の製造工程の通り、人体に有害な成分や化学物質は使用していないので安心です。
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石灰石(CaCO3)を高温で加熱して、石灰(CaO)を得ます。CaCO3 → CaO+CO2
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ここで生じた石灰に真水をくぐらせることで、消石灰[Ca(OH2)]が生じます。CaO + H2O → Ca(OH)2
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消石灰に海水を混ぜることで、イオン交換反応により水酸化マグネシウム【Mg(OH)2】を生成。Ca(OH)2 + Mg2+(海水) → Mg(OH)2 + Ca2+
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生じた水酸化マグネシウムには海水由来のNa+,Cl-が多数付着しているため、洗浄した後、乾燥させることで酸化マグネシウム(MgO)が作られます。Mg(OH)2 → MgO + H2O
高マグネシウム血症について
酸化マグネシウムに限らず、マグネシウムを含有する薬などを長期に渡って服用すると、血液中のマグネシウム濃度が異常に高くなることがあります。これは、マグネシウムを排泄する腎臓の機能が低下した高齢者の方が大量に服用したためと考えられており、腎機能に特に問題のない方が通常の量を飲む場合には、まず問題はないとされています。なお、それでも心配な方は血中マグネシウム濃度のチェックを主治医にご相談ください。
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