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VOL.68 【医師監修】便秘で胃痛の症状が出ることはある?他に考えられる病気も解説

便がなかなか出ない時に、お腹が痛くなった経験がある方は少なくないと思います。便秘は、腹痛やお腹の不快感、吐き気だけでなく、さまざまな症状を引き起こす可能性があります。

腸だけの症状に留まらない便秘は、胃痛を引き起こすことがあるのでしょうか。身近な症状と思われがちな胃痛も、すぐに医療機関を受診するべき病気が潜んでいる可能性があります。

この記事では、便秘で胃痛を引き起こすことがあるのか、胃痛がある場合に考えられる他の病気、日常で取り入れられる便秘の解消法もあわせて解説していきます。

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便秘で胃痛を引き起こすことはある?

便秘で「腹痛」を感じることはよくあります。便秘と言えば、腸の症状だと思われがちですが、腸は胃や十二指腸などの消化器官とつながっているため、便秘で起きる「腹痛」の中には胃痛も含まれます。

特に、みぞおちあたりから上に痛みを感じたり吐き気を感じたりするとき、胃が原因だと感じる方が多いかと思います。しかし、その症状は他の消化器官が原因で起きている場合もあるため、一概に胃に原因があるとは言い切れません。

そのため、胃痛が起きていてもその原因が便秘かどうか自己判断することは難しいため、一度医療機関を受診するようにしましょう。

便秘以外に考えられる胃痛を引き起こす病気

便秘以外にも胃痛が起きる可能性がある病気は、数多くあります。ここでは、その中でも代表的な病気を解説していきますので、参考にしてみてください。

ただし、胃痛を引き起こす病気はさまざまで、その原因を自己判断することは難しいので、胃痛が続く場合や痛みが強い場合などは、早めに医療機関を受診するようにしましょう。

●胃潰瘍・十二指腸潰瘍(消化器潰瘍)
胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの消化器潰瘍は、胃痛を感じる病気の1つです。何らかの原因で粘膜が弱った箇所に、自身の胃酸が攻撃することで穴が開いてしまい、胃の深い層まで穴が達してくぼみ状になってしまっている状態を指します。

消化器潰瘍の原因として、ストレスや、アルコールなどの刺激物の暴飲暴食、胃腸炎を伴うウイルス・細菌の感染、服薬などが考えられます。胃痛以外にも、お腹の違和感や不快感、吐き気などの症状が出ることがあると言われています。

●機能性胃腸症(機能性ディスペプシア)
機能性胃腸炎は、機能性ディスペプシアとも呼ばれ、胃痛や胃もたれなどの症状があるにもかかわらず、内視鏡などの検査をしても特に胃に異常が見つからないものを指します。

ストレスや過労などの精神的なものが原因と言われており、以前は神経性胃炎や慢性胃炎と診断されていました。しかし、「炎症」が見られないことから、機能性胃腸症と呼ばれるようになりました。

胃痛の他にも、食後の胃もたれ、早期膨満感、みぞおちの痛みなどの症状が出ることがあると言われています。

●胃アニサキス症
胃アニサキス症とは、寄生虫の一種であるアニサキスが胃の内側に噛みつくことで胃に激痛が生じる病気です。

アニサキスは、白っぽい糸のような寄生虫で、らせん状になっており、長さは2~3センチメートルほどです。カツオやサケ、サバ、サンマ、イカなどの魚介類に寄生しており、寄生されたそれらを加熱が不十分な状態で食べることが原因で、胃アニサキス症になると言われています。胃痛以外にも、みぞおちの痛みや嘔吐などの症状が出ることがあります。

●胃がん
胃がんは、何らかの原因で胃粘膜の細胞ががん細胞となることで発症する病気です。胃がんは潰瘍を伴っている場合も多く、みぞおちあたりに痛みを感じることがあります。

胃がんの発症は60歳代にピークを迎え、その前後の年齢もかかりやすいと言われています。

胃がんの原因は、ヘコリバクターピロリ菌の感染、多量の飲酒、喫煙、塩分の過剰摂取などだと考えられています。胃痛の他にも、胸やけ、嘔吐、体重の減少、お腹の張りなどの症状が出て、時には出血を伴う場合もあります。

日常生活でできる便秘解消方法は?

胃痛以外にもさまざまな症状を引き起こす便秘ですが、日常生活で簡単に取り入れられる解消方法もあります。ここでは、少しの工夫で便秘解消を目指せる方法を紹介していきます。

しかし、どうしても便秘が解消しない場合は、お腹が痛くなりにくくクセになりにくい、非刺激の便秘薬を試すことも検討してみてください。また、3日以上便秘が続く場合、他にも症状がある場合などは、早めに医療機関を受診するようにしましょう。

●バランスの良い食事とこまめな水分補給を心がける
便秘解消の基本は、食事の見直しとこまめな水分補給です。摂取する水分が足りないと、便の水分も不足して便秘になってしまいます。しかし、一気に大量に摂取しても尿として排出されるため、こまめに摂ることが大切です。

食事は、一品料理だけで済ませることは避け、一緒に野菜や果物などもバランス良く摂るように心掛けましょう。

腸内環境を整えるために、整腸作用のあるヨーグルトやチーズ、キムチや納豆など乳酸菌や発酵食品を積極的に摂取するのがおすすめです。

また、便秘解消に効果が期待できる成分として食物繊維があげられます。食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類がありますが、それらをバランスよくとることが便秘解消への近道となります。。

●規則正しい生活で排便リズムを整える
便秘を解消するためには、生活のリズムを整えることも大切です。食事は決まった時間に摂るようにし、できるだけ早めの就寝を心掛けましょう。

生活のリズムが整うことで、腸内のリズムも習慣化されていくと言われています。特に、朝食後は排便を促す「ぜん動運動」が活発になりますので、便意がなくてもトイレに行く習慣をつけると便秘が解消されやすくなっていきます。ゆったりとした気持ちでトイレに行けるように時間を設けてみてください。

●適度な運動を毎日継続する
便秘の原因の1つとしてあげられるのが腹筋の衰えです。人間は便を出すために腹筋でいきみますが、腹筋が衰えていると排便に必要な力が不足してしまいます。

便秘を解消するためには、適度な運動を毎日継続して行うことが大切です。週末や時間のあるときに何時間も運動するのではなく、毎日20~30分程度の有酸素運動や腹筋を刺激する運動をするのがおすすめです。

仕事が忙しくてなかなか時間がとれない場合、すき間時間でできる腰をひねる動作もあります。足を肩幅程度に開いて、肩と腕の力を抜いて腰を左右にひねります。腰をひねることで、腸が刺激され排便が促す効果が期待できますので、時間のない方でも毎日継続できるでしょう。

便秘で胃痛になることはあるが、自己判断せず医療機関へ

便秘はさまざまな症状を引き起こすため、胃痛を感じることもあります。しかし、胃痛が生じる病気は他にも複数あるため、胃痛の原因が便秘かどうかを自己判断するのは難しいです。胃痛がひどい場合や長く続く場合は、早めに医療機関を受診するようにしましょう。

工藤医師よりコメント
便秘が原因の胃痛は、便秘が解消されれば消失します。しかし、胃痛の原因となる疾患には放置することで重篤化する疾患もありますので、むやみに自己判断せず、症状が持続する場合は専門の医師に受診して下さい。
監修者

医師:工藤孝文
内科医・糖尿病内科・統合医療医・漢方医。
福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。
現在は、自身のクリニック:みやま市工藤内科で地域医療に力を注いでいる。
専門は、糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病、漢方治療・ダイエット治療など多岐にわたる。
テレビ・ラジオなどのメディアでは、ジャンルを問わず様々な医療の最新情報を発信している。
NHK「ガッテン!」では、2018年度の最高視聴率を獲得した。
著書は15万部突破のベストセラー「やせる出汁」をはじめ、50冊以上に及ぶ。
日本内科学会・日本糖尿病学会・日本肥満学会・日本東洋医学会・日本抗加齢医学会・日本女性医学学会・日本高血圧学会、日本甲状腺学会・日本遠隔医療学会・小児慢性疾病指定医。

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