VOL.52 【医師監修】便秘で38度以上の熱が出る?ひどい症状や排便を促す方法を紹介
便秘になるとお腹が張ったり、腹痛に悩んだりと不快な症状を伴うことがあります。数日で症状がよくなることもありますが、ひどい便秘の場合は長期間にわたって苦しむこともあります。
人によっては38度以上の高熱を伴うこともあります。今回は「便秘と38度以上の高熱の関係」や「便秘解消効果に期待ができるセルフケア方法」を紹介します。つらい便秘の症状に悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
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便秘で38度以上の熱は出る?
便秘になると腹部が張り、人によってはお腹の膨れで食べ過ぎた時のような圧迫感を感じることがあります。腹痛が伴うことも多いですが、通常は排便と同時に痛みがやわらぐでしょう。
便秘の要因の1つが腸内の悪玉菌。腸内には大きく分けて悪玉菌と善玉菌、そのどちらでもない中間の菌が存在しています。悪玉菌は文字通り体に悪影響を与える細菌ですが、善玉菌とバランスが取れていればさほど心配することはありません。
しかし、腸内の悪玉菌が増えると排便を促す腸のぜん動運動がうまく働かなくなり、便秘になりやすい状態になります。便秘は不快な症状だけではなく、肌荒れなどの影響も出てしまうので、早めに解消したいところです。また、便秘に伴い発熱があることもあります。
ただし、38度以上の発熱は便秘が原因とは限りません。気になる症状が便秘だけであっても他の疾患が隠れている場合があるので、高熱が出た場合は医師の診断を受けるようにしてください。
ひどい便秘の症状
便秘の症状は人によって異なるので、医療機関を受診すべきか悩むこともあるでしょう。医師の診断を受けるべきかどうか判断に悩む方は、以下で紹介する「便秘の判断基準」や「便秘の重い症状」を参考にしてください。
●便秘の判断基準
便秘であるかどうかの判断基準は人によって異なります。一般的には毎日排便がないと便秘と捉えますが、2日以上排便がなくても本人に不快感がなく、残便感がない場合は便秘と判断されません。
反対に、毎日排便があっても残便感や排便に伴う苦痛があれば便秘といえるでしょう。通常は1日に1~2回の排便がありますが、日数や回数に捉われすぎないことが大切です。
●病院を受診した方が良い便秘の症状
ひどい便秘の症状がある場合は、疾患が関係している場合があります。以下の症状がある場合は「ただの便秘」とは思わず早めに医療機関を受診してください。
- ・激しい腹痛
- ・高熱
- ・吐き気
- ・おならが出ない
- ・お腹の張りが強い
- ・便に血液が混じっている など
便秘も発熱を引き起こす要素ではありますが、高熱が続いたり激しい腹痛が続いたりしている場合は、体のどこかが炎症している可能性もあります。
「大腸がん」や「潰瘍性大腸炎」、「クローン病」などの炎症疾患は便秘の症状が伴う病気です。女性の場合は直腸の一部が膣に入り込んでしまう「直腸瘤」という病気が関係しているケースも。
いずれの疾患も便秘の症状だけでは判断できない病気ですので、重い便秘の症状がある場合は早めに医師に診てもらいましょう。
便秘解消に期待ができるセルフケアの方法
健康を維持するためにも普段から便秘にならない生活を心掛けることが大切。便秘解消に役立つと言われている対策方法を紹介するので、今日からさっそく快便を目指して取り組んでいきましょう。
どの対策方法も特別な道具は必要ありませんので、便秘に悩んでいる方はぜひ実践してみてください。
●食事の見直しをする
乱れた食生活は便秘の要因とされているので、まずは普段の食生活を見直してみましょう。普段から外食やスーパーのお惣菜・コンビニ弁当で食事を済ませがちな方も、整腸作用のある食材を意識的に摂取するとよいです。
例えば、食物繊維は便量を増やし、排便リズムを回復させる効果に期待ができます。ごぼうやひじき・緑黄色野菜などを意識的に食べてください。
乳製品も便秘解消のために積極的に摂りたい栄養素。ヨーグルトやチーズなどを食生活に取り入れていきましょう。発酵食品も便秘解消に役立つ食材と言われているので、納豆や発酵させた漬物などを食事の際に一品プラスしてみてはいかがですか。
1つの食材や栄養素にこだわるのではなく、バランスよく食べることが大事です。また、毎日決まった時間に食事を済ませることも重要です。
●水分補給をこまめにする
水分不足になると腸内の水分も不足し、便が硬くなってスムーズに排便できないこともあります。楽に排便できるように、しっかりと水分補給を行いましょう。
ただし、水分は一気に摂取すると尿となって排出されてしまいます。水分はこまめに摂取するように心がけてください。とくに冬場など寒い季節は、乾燥により皮膚からも水分が蒸発しやすいと言われているので、意識的に水分補給を行っていきましょう。
●運動習慣を身につける
適度な運動は腸のぜん動運動を促し、便秘解消に期待ができます。運動不足になると、腸のぜん動運動や排便に必要な筋力が衰えて「排便に必要な力」が低下します。便意を感じても上手く排便できなければ、便秘となってしまうので注意が必要です。
激しい運動は必要ありません。体力に自信のない方は、寝ながら行える「バタ足運動」や「両足上げ運動」などから運動習慣を身に付けてみてはいかがでしょうか。
●生活習慣の見直しをする
不規則な生活やストレスも便秘の原因となるので、生活習慣の改善も必要です。生活リズムが不規則である方は、毎日起きる時間と寝る時間を一定の時間にするだけでも違います。仕事がデスクワークの方は運動不足になりやすいので、簡単なヨガやウォーキングなどのエクササイズを生活に組み込むこともおすすめです。
また、ストレスを溜めこみやすい方は日頃からリフレッシュすることを心掛け、上手にストレスと付き合っていきましょう。リフレッシュ方法に決まりはないので、趣味など自分が好きなことを行って構いません。
ただし、暴飲暴食は便秘の要因となるので、食事でストレスを発散したい方は食べ方や量に注意してください。
便秘で38度以上の熱が出たら早めに病院を受診しよう
発熱を伴う便秘の場合、疾患が関係している可能性もあるので早めに病院へ行くようにしましょう。38度以上の高熱の場合は、風邪やインフルエンザなどのウイルス感染の可能性も考えられます。どちらにせよ、熱がある時は自己判断せず医師に診てもらうようにしてください。
熱が無くても、ひどい便秘の症状がある方は病院で診てもらうと安心です。普段から便秘に悩んでいる方は食生活や生活習慣を見直し、便秘予防に努めていきましょう。紹介したセルフケア方法も参考にしながら便秘解消を目指してください。
- 工藤医師よりコメント
- 便秘に悩んでいる方は薬局で購入できる便秘薬に頼る前に、まずは上述したような食事や運動などの生活習慣を見直すことから始めてみて下さい。
- 監修者
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医師:工藤孝文
内科医・糖尿病内科・統合医療医・漢方医。
福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。
現在は、自身のクリニック:みやま市工藤内科で地域医療に力を注いでいる。
専門は、糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病、漢方治療・ダイエット治療など多岐にわたる。
テレビ・ラジオなどのメディアでは、ジャンルを問わず様々な医療の最新情報を発信している。
NHK「ガッテン!」では、2018年度の最高視聴率を獲得した。
著書は15万部突破のベストセラー「やせる出汁」をはじめ、50冊以上に及ぶ。
日本内科学会・日本糖尿病学会・日本肥満学会・日本東洋医学会・日本抗加齢医学会・日本女性医学学会・日本高血圧学会、日本甲状腺学会・日本遠隔医療学会・小児慢性疾病指定医。
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