VOL.51 【医師監修】便秘になる食べ物は?排便を促す効果に期待ができる食材を紹介
不規則な食生活を送っていると、体のリズムが乱れてしまうので、腸の動きも悪くなり、便秘を招く原因にもなります。便秘を訴える人には、これでは“便秘になって当たり前”という食生活を送っていることが少なくありません。ここでは、便秘の原因や排便を促す効果に期待ができる食材を紹介します。
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便秘の原因は?
夜型で遅寝遅起きの睡眠リズム、運動不足、ストレス過多など、現代生活は不健全な生活になりがちです。排便リズムや便意はデリケートなので、こうした乱れた生活習慣を続けていると、たちまち便秘になってしまいます。
●食生活の乱れや低栄養
幼少期の孤食の影響による偏食、ダイエットのための無理な食事制限、インスタント食品やジャンクフードが中心の食事など、不健全な食生活を送っている人が増えています。こうした栄養バランスの悪い食生活は、便秘の大きな原因となります。便は食べ物の残りかすです。食事制限のダイエットをしている人や偏食で食べる量が少ない人が、便秘になりやすいのは、便の量が少なく、脳から出る「排便してもいいですよ」という指令が鈍くなってしまうためです。食事量は多くても、野菜が少なく肉類やジャンクフード中心の食生活も便の量が不足します。肉類は胃で消化され栄養分として吸収されるので、便の材料となる残りかすはあまり出ません。ジャンクフードも便の材料となるものは少量。その結果、便の量が増えないのです。
●水分不足
便秘を招く原因として、意外に多いのが「水分不足」です。便はその大半を水分が占めています。ストーンと気持ちよく出る健康な便は約80%が水分です。水以外の残りの成分は食べ物のかす、腸の粘膜から剥がれ落ちた細胞、腸内細菌などです。水分をきちんと取っていれば、大腸内で便が水分を含み、移動しやすい硬さになります。水分で便のかさも増すので、腸壁に刺激が伝わり、蠕動運動も活発になります。
●過労やストレスによる自律神経の乱れ
自律神経とは呼吸したり血液を循環させたりといった生きるために必要なことを行っている神経です。自律神経には興奮モードの交感神経と、リラックスモードの副交感神経があり、一方の機能が上がれば、もう一方の機能が下がるというシーソーのような関係になっています。腸の蠕動運動は、主に副交感神経によって収縮するため、リラックスできている状態でこそ活発に働きます。旅行に行くと便秘になってしまうのは、環境の変化に体が緊張して、交感神経が上昇し、副交感神経が低下するため。それだけ自律神経は腸に大きな影響を与えているのです。
●運動不足による筋肉の低下
運動不足も便秘を招く大きな原因となります。歩ける距離も車を使う、仕事中は座りっぱなし、休日は家にこもりっきりと、体を動かす時間が少ない生活をしていると筋肉が衰えます。すると、便を押し出すサポートができないので胃腸の動きも鈍くなり、排便リズムが狂ってしまいます。例えば腹筋が弱くなると、腸に十分な腹圧をかけることができないため、便意を感じてもうまくいきめません。一見、排便には関係なさそうに思える足腰の筋肉も、筋肉が収縮することで大腸の動きを補助的に促進しています。したがって、この部分の衰えも排便力の低下に繋がります。また、運動不足による血行不良も、胃腸の働きを鈍くする一因です。
●疾患が原因となって便秘になっている可能性もある
「たかが便秘」とあなどっていると、大腸がんやクローン病のような重大な病気が原因で便秘が起こっていることもあります。急に便秘になった人や、慢性便秘で下剤をよく使っている人、血便が出た人、便秘と下痢を繰り返す人などは、胃腸科や消化器科で検査を受けて下さい。
便秘になる食べ物とは?
便秘は生活の質に大きく影響する疾患であり、食事も原因の一つと考えられています。便秘になりやすい食べ物もあるので、食生活を見直すことが大事です。
●肉類
肉食を中心とした欧米風の食生活をしていると、動物性脂肪をたくさん摂りやすくなります。そうすると、膵臓で作られる脂肪を分解する酵素の分泌が少なくなり、消化不良のまま大腸に届くことになります。十分に消化されていない脂肪が大腸に入ってくると、腸内に悪玉菌が多くなって、便秘をしやすくなります。
●タンニンが含まれた食べ物や飲み物
タンニンは化学的には大きい分子内に多くのフェノール性水酸基をもつ植物成分の総称であり、多数の化合物がこれに属します。このタンニンを過剰摂取すると、腸に特殊な膜を張り、蠕動運動を抑制する可能性があります。タンニンは柿やお茶類、コーヒー、ワイン、日本酒、ウィスキーなどに多く含まれており、健康食品にも含まれていることがあります。
便秘解消に役立つ食べ物に含まれる栄養素とは?
排便に大きな影響を与える栄養素としては、食物繊維や乳酸菌、オリゴ糖、脂質などが挙げられます。普段の食生活にも取り入れやすい食材ばかりなので、便秘に悩んでいる方はこれら栄養素が含まれている食べ物を摂取してみると良いでしょう。
●水溶性食物繊維
便秘解消には食物繊維を積極的に摂取することが推奨されています。食物繊維は食物に含まれる成分のうち、人の消化酵素では消化できない成分で、水に溶ける水溶性食物繊維と、水に溶けない不溶性食物繊維があります。
水溶性食物繊維は腸内で水分を含むとヌルヌルしたゲル状になり、有害成分を吸着して排出します。腸内の善玉菌を増やす効果もあり、高い整腸作用があります。水溶性食物繊維のフコダインやアルギン酸は海藻類、グルコマンナンはこんにゃく、コンドロイチン硫酸はオクラ、やまいもなどに豊富に含まれています。
●不溶性食物繊維
不溶性食物繊維は腸の中で水分を吸収して膨らむことで腸壁を刺激し、腸の蠕動運動を高めます。不溶性食物繊維のセルロースは玄米、大豆、ごぼう、キチン・キトサンはきのこ類、ペクチンはキャベツ、みかん、りんごなどに豊富に含まれています。
●乳酸菌
乳酸菌は腸の中で善玉菌のビフィズス菌を増やして、腸内環境を整える働きがあると言われています。乳酸菌にはヨーグルトやチーズに含まれる動物性乳酸菌と、味噌・醬油・漬物・酒などに含まれる植物性乳酸菌とがあります。乳酸菌が腸にたどり着くまでには、強酸の胃の中を通らなければなりません。生育の良い温度と豊かな栄養に恵まれて育った動物性乳酸菌は、ほとんどが胃で死滅します。しかし、低栄養でしかも塩分が多い過酷な環境で育った植物性乳酸菌は、酸やアルカリ、温度変化などに強いため、生きて腸に到達しやすいと言われています。欧米人に比べて腸の長い日本人に適した乳酸菌ともいえます。
●オリゴ糖
腸内環境を良い状態に保つには、常に一定量の善玉菌が腸内で元気に活動していることが必要です。ビフィズス菌をはじめとする善玉菌のえさとなり、腸内で善玉菌が増える手助けをするのがオリゴ糖です。オリゴ糖はブドウ糖や果糖などが結合した糖質。胃の消化酵素で分解されない成分を含んでいるので、分解されないまま腸に届いて善玉菌の栄養源となります。また、腸内細菌の作用で発酵すると酢酸や乳酸などを作り、腸内を酸性にします。腸内が酸性になると悪玉菌は活動できなくなり、腸内環境が良い状態となります。
●脂質
脂質はたんぱく質、炭水化物とともに三大栄養素に数えられる重要な栄養素です。脂質の主成分である脂肪酸はエネルギー源になるほか、体の組織を作り、正常に機能させる働きもあります。したがって、減量が必要な人であっても適度な油は必要ですし、便秘改善のためにも重要です。油を摂ることで便の滑りも良くなり、脂肪酸は腸を刺激して蠕動運動を活発にさせます。特に植物性油は便秘改善に欠かせない自律神経の調整と血行促進効果のあるビタミンEがたっぷり含まれています。そのうえ、腸の蠕動運動をよくするビタミンB1が、体内で消費される量を節約する働きもあります。ときどき炒め物や揚げ物を作ったり、サラダや温野菜などに回しかけたりして、適量を摂るようにしましょう。
●そのほか
アルコールは適量を楽しく飲めば、気分もリラックスしてきて、腸をパワーアップさせる効果があります。適量のアルコールは血管を拡げて、血圧を下げる効果があることも知られています。特にポリフェノールたっぷりの赤ワインは、脂質の酸化を防いで動脈硬化を予防する働きがあります。また、香辛料や炭酸飲料、甘味料なども腸の運動を高める作用があることが知られています。
便秘を治すために食べ物を見直そう
理想的な食事として、まず1日3食とし、うち1食は主食・主菜・副菜・果物・乳類を摂ることを目指しましょう。何か一つの食品にこだわるよりも、全体的なバランスを重視して規則正しい食事のリズムを習慣化することが望まれます。
どうしても便秘がよくならない時は、便秘薬を使うのもやむを得ないでしょう。ただし、市販の便秘薬にもいろいろなタイプがあるので、自分にあった薬を選ぶことが大切です。
いろいろ試しても改善しない場合は、一度医師に相談し、適切な指導を受けましょう。
- 工藤医師よりコメント
- 器質的な疾患が原因でなく、生活習慣の乱れが原因の便秘は食事や運動習慣、自律神経の乱れを改善することで解消することが可能です。まずはご自身の生活を振り返り、便秘の原因を探ることをおすすめします。
- 監修者
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医師:工藤孝文
内科医・糖尿病内科・統合医療医・漢方医。
福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。
現在は、自身のクリニック:みやま市工藤内科で地域医療に力を注いでいる。
専門は、糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病、漢方治療・ダイエット治療など多岐にわたる。
テレビ・ラジオなどのメディアでは、ジャンルを問わず様々な医療の最新情報を発信している。
NHK「ガッテン!」では、2018年度の最高視聴率を獲得した。
著書は15万部突破のベストセラー「やせる出汁」をはじめ、50冊以上に及ぶ。
日本内科学会・日本糖尿病学会・日本肥満学会・日本東洋医学会・日本抗加齢医学会・日本女性医学学会・日本高血圧学会、日本甲状腺学会・日本遠隔医療学会・小児慢性疾病指定医。
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