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VOL.159 【医師監修】便秘でレントゲンは撮る?結果でわかることやほかの検査方法も紹介

ひどい便秘で医療機関の受診を検討する際、レントゲン検査をすることがあるのか気になる方も多いでしょう。便秘の原因や症状の検査方法は、レントゲンを含めて複数の方法があります。

今回は、便秘の検査でレントゲンを撮る必要があるのか、レントゲン検査によって何がわかるのかを解説します。

レントゲン以外の便秘の検査方法や、日常でできる便秘解消法も紹介するので、頑固な便秘に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

便秘でレントゲン検査を受けることはある

便秘や腹痛、お腹が張る、背部痛、嘔吐、嘔気といった症状で医療機関を受診した場合、便秘の有無やほかの疾患の可能性を調べるために、レントゲンを撮ることがあります。

腹部単純レントゲン検査では、主に腸のガスや便塊の有無、腸閉塞の徴候を確認可能です。レントゲンを撮ることで、消化管感染症や腸閉塞、消化管穿孔など、別の病気の可能性があるかどうかも調べられます。

つらい便秘症状に悩んでいる方は、我慢せずに消化器内科などの専門機関を受診し、検査・治療を受けましょう。

便秘のレントゲン検査の流れ

便秘症状で医療機関のレントゲンを撮る場合、一般的に以下の流れで検査を行います。

1. 問診

排便の状態や便秘以外の症状の有無、既往症の有無、服用している薬、食欲の有無、ライフスタイルなどの質問に答える

2. 検査

問診の結果を受けて、必要があればレントゲン検査を行う

3. 診断と治療

レントゲン検査の結果をもとに原因の診断・治療を行う

レントゲン検査後、必要があれば腹部超音波検査や全大腸内視鏡検査など、そのほかの検査を提案されることもあります。

レントゲン以外の便秘検査方法

便秘の有無や腸の状態を確認するための検査方法はレントゲン以外にもあり、受診機関や症状によって提案される方法が異なる場合があります。

以下では、レントゲン以外の便秘検査方法を4つ紹介します。

大腸内視鏡検査(大腸カメラ)

大腸内視鏡検査(大腸カメラ)は、専用のスコープを肛門から挿入して大腸内壁や腸内細菌の状況を確認し、異常や病気の有無を確認する検査です。

通常は直接見られない大腸の内部を可視化できるため、便秘の原因を具体的に特定しやすくなります。必要があれば直接がんやポリープの切除も可能なので、大腸がんやポリープの早期発見・治療にも効果的です。

ただし、大腸内部の異常や腸の病気以外が原因で便秘が起きている場合、大腸内視鏡検査では異常を発見できないため、ほかの検査と組み合わせて診断を行う必要があります。

CTスキャン

CTスキャン(コンピュータ断層撮影)は、X 線を利用して体内の状態を画像化する検査方法です。腸閉塞など、緊急性の高い病気が疑われる際によく用いられます。

検査にかかる時間は大腸内視鏡検査より短く、検査室に入ってから検査室を出るまでの所要時間は15分程度です。

また、大腸を専門的に診断するCTコロノグラフィー(バーチャルコロノグラフィー)は、検査時に肛門から6~7mmのチューブを挿入し、炭酸ガスで腸管を拡張した上でCT撮影を行います。大腸カメラのように大腸の中を観察することができます。

血液検査

血液検査は、採取した血液を通じて便秘の原因となる疾患・炎症の有無や栄養状態を調べる検査です。

便秘の重症度や原因を詳しく特定することは難しいものの、糖尿病や甲状腺機能低下症の診断ができるため、基礎疾患の有無を調べる際に用いられます。

便潜血検査

便潜血検査は、便を採取して大腸内の出血の有無を調べる検査です。大腸がんの検査方法としてよく用いられます。

早期の大腸がんは、発生しても基本的に無症状ですが、がんの表面からは肉眼で確認できないほど微量の血液が染み出ています。便潜血検査は、便中の微量な血液も検出するため、大腸がんの検査として効果的です。

便潜血検査で陽性の場合、より詳しく症状を調べるために、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を受けることが推奨されます。ただし、便潜血検査の結果が陰性でも、大腸がんの可能性がゼロと確定するわけではないため注意しましょう。

日常生活で行える便秘対策

ひどい便秘が続く際は、専門機関で検査や治療を受けるだけでなく、日々の生活習慣を整えて便秘を予防することも大切です。

以下では、自宅でできる基本の便秘対策を3つ紹介します。できそうなものから生活に取り入れてみてください。

適度な運動を心がける

普段から運動する機会が少なめな方は、意識して適度な運動を行いましょう。腸の筋肉を活性化させて排便しやすい状態にするには、運動による血液循環が欠かせません。

適度な運動習慣を取り入れることで、食物が腸をスムーズに通過しやすくなり、消化機能も改善されます。

具体的な運動のやり方は、有酸素運動、腹筋運動、骨盤トレーニング、ヨガ、ストレッチなどを候補として、自身の興味やライフスタイルに合わせて選んでみてください。

運動にかける時間は、1回15〜30分程度でも良いです。一度にたくさん運動するのではなく、短時間でも長期的に継続することが、便秘改善につながります。

食事の栄養バランスを意識する

便秘が気になるときは、食事の栄養バランスを見直してみてください。野菜や果物といった食物繊維が豊富な食材やヨーグルトなどを意識的に摂取すれば、便秘を改善できる可能性があります。

また、主食を雑穀米やライ麦パンに変える、豆類・根菜類・海藻類などを使った和食中心のメニューに変える、1日3食しっかり食べるなど、全体的な食生活を整えることも、便秘予防につながります。

水分摂取量が少なくなりがちな方は、1日2リットルを目安として、こまめに水分を摂ることも大切です。

酸化マグネシウム便秘薬を活用する

生活習慣を見直しても便秘症状が解消されない場合は、酸化マグネシウム便秘薬を試すのも1つの方法です。酸化マグネシウム便秘薬は非刺激性の薬剤で、お腹が痛くなりにくく、クセにもなりにくいというメリットがあります。

服用後は数時間程度で便意を催す傾向があり、ゆるやかに排泄を促します。

ただし、現在ほかに服用している薬がある方や、体調・持病などにより服用に不安を感じる方は、使用前に医師や薬剤師に相談してください。

また、便秘薬の長期服用は避け、できるだけ日常で行える改善方法を試して便秘改善を目指しましょう。

ひどい便秘症状の場合、しっかり検査をして原因を追究しよう

便秘や腹痛、お腹が張るといった症状で医療機関を受診する際は、便秘や疾患の有無を確認する目的で、レントゲン検査を行う場合があります。

また、レントゲンでは確認できない疾患が原因と疑われるときは、大腸内視鏡検査やCTスキャン、血液検査などを行うケースもあります。我慢できない便秘症状がある場合は、早めに医療機関を受診し、適切な検査や治療を受けましょう。

なお、便秘症状が続く方は、運動習慣や食生活を見直し、生活習慣を改善することも大切です。生活習慣を変えてもなかなか便秘が解消しない場合は、医療機関を受診して、適切な治療を受けるようにしましょう。

白畑医師よりコメント
便秘に悩む方は、日常生活改善・適切な食事・運動を心がけ、場合によっては投薬で便秘予防に取り組みましょう。便秘の多くは機能性便秘で大腸に病気がありませんが、大腸に病気がある「器質的便秘」の可能性もあるため、便秘で悩む方は必ず医療機関を受診し、レントゲンやCT、大腸カメラ、血液検査などの検査を担当医と相談しましょう。
監修者

医師:白畑敦
昭和大学医学部を卒業後、昭和大学藤が丘病院、市中病院で消化器外科医として勤務。大腸肛門病疾患でも研鑽を積み、2017年しらはた胃腸肛門クリニック横浜を開設。大腸疾患(内視鏡治療・便秘治療・炎症性腸疾患など)・肛門疾患(痔核手術・便失禁治療など)を専門分野として診療。