VOL.158 【医師監修】便秘の改善効果が期待できる漢方薬は?一般的な便秘薬との違いも解説
便秘に悩んでいる方は、どういった便秘改善方法が自身に適しているのか知りたい方も多いのではないでしょうか。できれば、便秘薬には頼らず漢方薬から試してみたいという方もいるかもしれません。
今回は、便秘改善に効果ができる漢方薬とあわせて、漢方薬でも改善されない便秘の解消法を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
便秘改善に効果が期待できる主な漢方薬の種類
漢方薬にはいくつか便秘の改善効果が期待できるものがあります。以下で詳しく紹介します。
大黄甘草湯(だいおうかんそうとう)
大黄甘草湯は便秘の症状を改善する漢方薬の1つで、便秘に伴う肌荒れなどの改善効果も期待できます。
生薬のダイオウ(大黄)とカンゾウ(甘草)の2つを組み合わせてできたもので、大黄は主成分のセンノシドの働きによって大腸を刺激し、ぜん動運動を高めて排便を促します。
とくに、繰り返す便秘に悩まされている方や、便秘による肌荒れに悩んでいる方に適するいわれています。
ただし、ほかのお薬を現在飲んでいる方や、体調で心配なことがある方は、まずは医師や薬剤師に相談してから服用しましょう。
桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
桃核承気湯は、体の「気」「血(けつ)」の流れを良くしてくれる漢方薬で、生理前や生理中に起こりがちな痛みや、のぼせなどの症状を緩和してくれます。
便秘による頭痛、高血圧の症状(頭痛、めまい、肩こり)、月経不順や月経時や産後の精神不安などの改善にも使用される漢方薬です。女性で生理痛や便秘に悩む方に適するといわれています。
ただし、ほかのお薬を現在服用している方や、体調で心配なことがある方は、まずは医師や薬剤師に相談してから服用しましょう。
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
防風通聖散は体を温めて熱を発散し、エネルギー消費を高めて脂肪の分解や燃焼を促してくれる漢方薬です。
便秘に伴う肥満症や肌荒れ、むくみなどの症状を改善するといわれています。
調胃承気湯(ちょういしょうぎとう)
調胃承気湯は、慢性的に便秘で悩んでいる方に効果が期待できる漢方薬です。
大腸のぜん動運動を促し、大腸に溜まった余分な便を出すことで、便秘や便秘に伴う不快な症状を改善するといわれています。
便秘による漢方薬と西洋薬の違いは?
西洋薬は科学的に分析された薬で、疾患や病気に対してピンポイントで治療します。
一方、東洋医学からできた漢方薬は天然の生薬を混合した薬で、自然治癒力を高める効果があるといわれています。
つらい便秘に悩まされているのであれば、まず医療機関を受診して、西洋薬と漢方薬のどちらが自身に適するのか判断してもらいましょう。
漢方薬以外で便秘を改善する方法は?
漢方薬を試したが、なかなか即効性がない、という方も少なくありません。
つらい便秘は早く直したいと考える方も多いでしょう。早めに便秘を改善したいのであれば、酸化マグネシウムが配合された便秘薬を試してみるのも1つの選択肢です。
酸化マグネシウムが配合された便秘薬の特徴を以下で説明します。
酸化マグネシウム便秘薬は非刺激性の便秘薬
便秘薬を飲むとお腹が痛くなる、クセになると考えている方もいるでしょう。
しかし、酸化マグネシウムの入った便秘薬は、腸を直接刺激する成分を含まない非刺激性の便秘薬です。
お腹が痛くなりにくく、クセになりにくいのが特徴で、妊婦の方や5歳以上のお子様、ご高齢の方も服用可能です(※)。
お腹に刺激が強く、クセになる可能性がある便秘薬は避けたいけれど、早めに便秘の改善をしたいという方は試してみると良いかもしれません。
※ 妊婦または妊娠している可能性のある方、高齢者は服用前に医師、薬剤師または登録販売者に相談してください。
便秘解消のために日常でできること
漢方薬や酸化マグネシウム便秘薬など、薬で便秘を改善することもできますが、普段の生活習慣から便秘を改善することも大切です。
ここからは日常でできる便秘改善方法を紹介します。
食物繊維を意識した食事をする
食物繊維は、便のかさを増したり便を柔らかくしたりすることに加え、腸内細菌のエサとなって腸内環境を整える効果が期待できます。
食物繊維が多く含まれる食材は穀物や芋類、果物、生野菜、きのこ類、藻類などです。
また、朝食を抜かず、1日3食バランスよく食べることも大切です。
水分をこまめに摂取する
水分が少なく硬い便は排出しにくく、便秘につながりやすいです。
便秘を改善するには、1日2リットルを意識して水分をこまめに摂取すると良いです。また、起床時にコップ1杯の水を飲むと、腸が目覚めて排便を促しやすくなります。
適度な運動やマッサージをする
適度に運動することで、腸のぜん動運動を促すことができます。さらに腹筋を鍛えれば、腸の動きや排便をサポートする効果にも期待ができます。
まずはウォーキング、ヨガなど、自身が負担に感じない運動からはじめてみましょう。
また、「の」の字を書くように腸をマッサージするのもおすすめです。
便意を感じたら早めにトイレに行く
便意を感じたら、早めにトイレに行く習慣をつけるようにしましょう。
排便を我慢する習慣をつけると、排便反射が弱まり、便が溜まっても便意を感じにくくなることがあります。毎日朝食後にトイレに座るなど、決まった時間に排便する習慣をつけることも大切です。
便秘は薬だけに頼らず改善しよう
便秘改善に期待ができる漢方薬の種類はさまざまです。まずは医師または薬剤師に相談して服用するようにしましょう。
漢方薬で便秘が改善されない場合は、酸化マグネシウム便秘薬を試してみるのも1つの方法です。
ただし、便秘は薬だけに頼らず、日常生活のなかで改善できるように心がけるようにしましょう。
- 白畑医師よりコメント
- 便秘に悩む方は日常生活改善・適切な食事・運動を心がけ、予防に取り組みましょう。便秘の薬には西洋薬と漢方薬があり、各々の長所と短所があるため、投薬を希望の方は必ず医療機関を受診し、担当医と自身に合った薬を相談しましょう。
- 監修者
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医師:白畑敦
昭和大学医学部を卒業後、昭和大学藤が丘病院、市中病院で消化器外科医として勤務。大腸肛門病疾患でも研鑽を積み、2017年しらはた胃腸肛門クリニック横浜を開設。大腸疾患(内視鏡治療・便秘治療・炎症性腸疾患など)・肛門疾患(痔核手術・便失禁治療など)を専門分野として診療。