VOL.150 【医師監修】吐き気の原因は便秘かも?症状から考えられる病気や原因・改善方法を解説
便秘に伴い吐き気を感じる方は少なくないかもしれません。便秘と吐き気を伴う疾患もあるので、便秘の症状や考えられる病気を知っておくことが大切です。
今回は便秘と吐き気の関係や考えられる疾患、便秘の改善方法を紹介します。
便秘が吐き気の要因となる理由
便秘によるお腹の膨れや張りから、吐き気の症状が出ることがあります。何日も排便がなく、吐き気を感じている方は便秘が原因かもしれません。
ただし、必ずしも吐き気の原因が便秘とは限らないため、可能性の1つとして留め、激しい吐き気や腹痛、発熱がある場合は、原因を便秘と断定せずに医療機関を受診するようにしましょう。
便秘と吐き気の症状が伴う疾患
便秘と吐き気を伴う疾患は以下があげられます。
・過敏性腸症候群
とくに消化器の疾患がないにも関わらず、腹痛と便秘、または下痢を慢性的に繰り返し、さらには吐き気の症状が伴います。
・腸閉塞
飲食物と消化液の流れが小腸や大腸で障害された状態になり、嘔気、嘔吐、腹部膨満感、腹痛、便秘の症状を伴います。
・ 潰瘍性大腸炎
大腸の粘膜にびらんや潰瘍ができる大腸の炎症性疾患で、主な症状は吐き気・嘔吐、腹痛、発熱、下痢などがあげられます。
・消化管穿孔
結腸や直腸に穴があき、便汁などの消化管液が腹腔内に漏れ出て腹膜炎をおこす病態で、腹痛、腹部膨満感、吐き気などの症状がみられます。
・クローン病
大腸及び小腸の粘膜に慢性の炎症または潰瘍をひきおこす原因不明の疾患で、症状としては腹痛と下痢、さらに発熱、下血、腹部腫瘤、体重減少、全身倦怠感 、貧血などがあげられます。
便秘や吐き気以外の症状がある方や、症状が重い方は医療機関に相談するようにしましょう。
便秘の主な原因
2023年便通異常症ガイドラインでは、便秘は「本来排泄すべき糞便が大腸内に滞ることによる兎糞状便・硬便, 排便回数の減少や、糞便を快適に排泄できないことによる過度な怒責、残便感、直腸肛門の閉塞感、排便困難感を認める状態』と定義されています。
便秘の原因は生活習慣に大きく関係しているので、便秘の症状が気になっている場合は、以下にあてはまる項目がないか確認してみましょう。
栄養バランスの偏った食生活
栄養バランスの偏った食事は便秘の要因となります。食事量が少ない方も注意が必要です。
また、食事の時間がバラバラになっている方も排便リズムが整いにくい傾向にあります。便秘に悩んでいる方は、今一度食生活を見直してみると良いでしょう。
生活習慣の乱れ
睡眠不足をはじめとする生活習慣の乱れも便秘の要因となります。日頃から眠る時間が少ない方や、日によって生活リズムが変わっている方は便秘になりやすい傾向にあります。
睡眠時間をはじめ、生活習慣の乱れを正すことが大切です。
運動不足
運動不足になると腸のぜん動運動が弱まり、便秘になりやすくなります。運動習慣がない方は健康維持のためにも、少しずつ運動習慣をつけるようにしましょう。
ストレス
ストレスも便秘の要因となります。ストレスにより腸のぜん動運動が低下したり、腸内の悪玉菌が増えたりします。
慢性的にストレスを感じている方はリフレッシュしながらストレスを発散することが非常に大切です。
便秘の改善方法
ここからは、便秘の改善に期待ができる方法を紹介します。ただし、便秘に伴う吐き気の症状がひどい方は、医療機関を受診するようにしましょう。
食物繊維を意識した食生活
食物繊維は排便を促したり、便を作ったりするために必要な栄養素です。便秘を改善したい方は食物繊維を意識した食事を摂取すると良いでしょう。
また、決まった時間に食事を摂ることや、ダイエット中であっても適切な量の食事を摂取することなどが大切です。水分不足も便秘の一因となるので、気を付けましょう。
規則正しい生活を意識する
生活習慣の乱れは便秘の要因となるため、規則正しい生活を意識するようにしましょう。
しっかりと睡眠を取る、生活リズムが崩れやすい方は自然光を部屋に入れる、入眠に時間がかかる方は入浴習慣を身に付けるなど工夫してみると良いかもしれません。
運動習慣を身に付ける
腸のぜん動運動を活発にするためにも運動習慣をつけるようにしましょう。
ハードな運動ではなく、ウォーキングや軽いジョギングなど、毎日続けられる運動から始めてみると良いでしょう。運動は快眠効果やストレス発散効果にも期待ができます。
酸化マグネシウム便秘薬を使用する
酸化マグネシウムが配合された便秘薬は、浣腸と同様に便を排出しやすくする効果が期待できます。
浣腸よりも効果がゆるやかで、一般的に服用後8~10時間程度で便意を催しやすいです。
便秘で吐き気がある場合は医療機関を受診しよう
便秘は吐き気をはじめとしたあらゆる不快感を伴う場合があります。吐き気があると食欲が出ず、私生活に影響が出るほか、便秘が悪化してしまう可能性もあります。
便秘による吐き気の症状に悩んでいる方は、早めに医療機関に相談するようにしましょう。
- 白畑医師よりコメント
- 吐き気で悩む方は、まず医療機関を受診しましょう。そして、便秘が原因による吐き気の場合は、運動や生活習慣、食事など適度に自分に合った方法で便秘予防に取り組んでいきましょう。
- 監修者
-
医師:白畑敦
昭和大学医学部を卒業後、昭和大学藤が丘病院、市中病院で消化器外科医として勤務。大腸肛門病疾患でも研鑽を積み、2017年しらはた胃腸肛門クリニック横浜を開設。大腸疾患(内視鏡治療・便秘治療・炎症性腸疾患など)・肛門疾患(痔核手術・便失禁治療など)を専門分野として診療。