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VOL.138 【医師監修】浣腸の成分は水だけ?適切な使い方と注意点も解説

浣腸は肛門から腸内に薬液を注入することで、便を柔らかくして排出しやすくしてくれます。

腹痛や便秘改善のために浣腸の使用を検討している方のなかには、「浣腸の成分は水だけなのか」「体内に入れても問題ないのか」と気になる方も多いでしょう。

そこで今回は、浣腸の成分や便秘改善のメカニズム、適切な使い方、注意点をまとめて紹介します。

浣腸とは?

浣腸とは、肛門から注入する薬液の作用で腸管に刺激を与え、排便を促すものです。とくに直腸内に溜まった便の排泄に効果を発揮します。

同じく便秘改善に用いられるマグネシウム便秘薬などと比べて、即効性を期待できるのが特徴です。

浣腸の成分は水だけ?

浣腸の主成分は、グリセリンと水です。腸内に注入された薬液は、浸透圧の作用で腸壁の水分を吸収し、刺激を与えて蠕動運動を促進させます。同時に、腸壁から吸収した水分で便を柔らかくし、排泄しやすくする仕組みです。

グリセリンは、化粧品や軟膏などにも使われる成分です。浣腸薬に含まれるグリセリンは体内に入れても問題ありませんが、内服はできない点に注意しましょう。注入した薬液は、基本的に便と一緒に排出されます。

浣腸の適切な使い方

浣腸を正しく使うには、ただ薬液を注入するだけでなく、事前準備も大切です。以下では、浣腸の適切な使い方を2つのステップに分けて紹介します。

ステップ1.浣腸の事前準備

浣腸は、湯煎で人肌程度に温めましょう。キャップを外し、先端にオリーブオイルやワセリンなどを塗っておくと、スムーズに薬液を注入しやすくなります。

ステップ2.浣腸薬の注入・排便

浣腸の先端をゆっくりと肛門に挿入し、商品の説明書に記載された容量の薬液を注入しましょう。注入後は浣腸を静かに抜いて、ティッシュペーパーや脱脂綿などで肛門を圧迫します。圧迫したまま3〜10分程度待ち、便意が十分に強まったら排便してください。

注入後に薬液が残った場合も、使い回しはせず浣腸の容器ごと処分しましょう。

浣腸を使う際の注意点

浣腸を誤った方法で使用すると、腸内の損傷や排便反射の低下といったトラブルにつながることもあるため注意が必要です。

また、痔や腸出血がある方は浣腸の使用を控えるようにしてください。

以下では、浣腸を安全に使うために押さえておくべき注意点を3つ紹介します。

立った状態で使用しない

立った状態での浣腸の使用は避けましょう。立った状態で挿入すると、先端が腸壁に当たりやすくなり、直腸を傷つけるリスクがあります。

浣腸を使う際は、体の左側を下にして、横になった状態で薬液を注入すると良いでしょう。使用後は急に便意を催す可能性があるため、薬液の注入はできるだけトイレに近い場所で行うのがおすすめです。

使用に不安がある方は事前に医師に相談する

体調や持病の有無によっては、浣腸の使用が推奨されない場合があります。持病がある方や妊娠中・授乳中の方、ほかの薬を服用中の方など、少しでも浣腸の使用に不安がある方は、使用可否を事前に医師に相談しましょう。

浣腸の常用は避ける

頻繁に便秘に悩まされる方でも、浣腸の常用は避けてください。浣腸で排便する習慣をつけると、排便反射が低下して、自力で排便できなくなるリスクがあります。

便秘が続く場合は、浣腸の常用を避け、生活習慣の改善に取り組むことが大切です。生活習慣を見直しても便秘が改善しない場合や浣腸をしても排便できない場合は、早めに医療機関を受診してください。

浣腸以外で便秘を改善する方法

最後に、浣腸以外で便秘を改善する方法を4つ紹介します。便秘に悩んでいる方は、できそうな方法から試してみてください。

便意を我慢しない

少しでも便意を感じたときは、我慢せずにできるだけ早くトイレに向かいましょう。便意とは、肛門付近に便やガスが溜まって、腸が刺激を受けた際に感じるものです。

便意を我慢する習慣をつけると、排便反射が低下し、腸内に便が溜まっても便意を感じにくくなるリスクがあります。溜まった便は時間とともに水分が抜けて硬くなり、便秘の悪化や痔の原因になることもあるため要注意です。

規則正しく排便するには、朝食後などの便意を感じやすい時間帯にトイレに座る習慣をつけると良いでしょう。

こまめに水分補給をする

水分をこまめに摂取することもポイントです。水分が少ない硬い便は排泄しにくく、便秘の原因となります。

便秘が気になりやすい方は、1日2リットルを目安として、意識的に水分を摂取してみてください。水分を摂取すると同時に、適度な運動をして腸の蠕動運動を促すことも大切です。

食物繊維の多い食事を摂る

食生活が乱れやすい方は、意識して食物繊維の多い食事を摂りましょう。食物繊維には、便を柔らかくし、かさを増やして排便しやすくする効果が期待できます。

食事を作る際は、穀物や芋類、果物、生野菜、きのこ類、藻類など、食物繊維の多い食材をレシピに取り入れてみてください。

ただし、規則正しい排便習慣をつけるには食物繊維だけを大量に摂取するのではなく、普段から栄養バランスの整った食事を摂ることが重要です。

酸化マグネシウム便秘薬を使用する

頑固な便秘に悩んでいる方は、酸化マグネシウム便秘薬の使用も検討してみてください。酸化マグネシウム便秘薬には、便を柔らかくして排出しやすくする効果が期待できます。

浣腸よりも効果の現れ方がゆるやかです。酸化マグネシウムはあくまでも『便秘予防』の薬のため、便秘で苦しくなってから内服するのではなく、普段から調整して内服しましょう。

注意点として、酸化マグネシウム便秘薬は比較的クセになりにくい薬ですが、高マグネシウム血症(不整脈・倦怠感など)などの副作用もあるため、浣腸と同じく常用は避けましょう。また、便秘薬は用法用量を守って服用するようにしましょう。

浣腸の成分は水とグリセリン!正しく使って便秘を解消しよう

浣腸の主成分は、水とグリセリンです。肛門から注入すると、浸透圧の作用で腸を刺激し、さらに便を柔らかくして排便を促す効果が期待できます。

浣腸は即効性を期待できる薬剤のため、今すぐ腹痛や便秘を改善したい場合に役立ちますが、使いすぎると自力で排便しにくくなるリスクがあるため、常用は避けてください。

頑固な便秘に悩んでいる方は、薬で排便を促すだけでなく、生活習慣や食事内容を見直すことも検討してみましょう。

白畑医師よりコメント
便秘は様々な要因で発症するため、便秘に悩む方は食事や生活習慣、投薬など自分に合ったやり方で積極的に便秘予防に取り組んでいきましょう。それでも排便が困難な頑固な便秘には、即効性のある浣腸を選択肢の1つとして考えましょう。
監修者

医師:白畑敦
昭和大学医学部を卒業後、昭和大学藤が丘病院、市中病院で消化器外科医として勤務。大腸肛門病疾患でも研鑽を積み、2017年しらはた胃腸肛門クリニック横浜を開設。大腸疾患(内視鏡治療・便秘治療・炎症性腸疾患など)・肛門疾患(痔核手術・便失禁治療など)を専門分野として診療。

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