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VOL.126 【医師監修】便秘とうつ病は関係がある?ストレスによって起こる不調と解消法を紹介

みなさんは緊張したときに、お腹が痛くなった経験はありませんか?もしかするとそれは「過敏性腸症候群」の症状の可能性があります。

実は腸はこころの影響を受けやすい器官で、不安やストレスを感じたときに便秘や下痢になる方も少なくありません。

そのため、便秘とうつ病にも関係があると考えられており、不安やストレス、緊張を感じたときに起きる腸の症状を「過敏性腸症候群」と呼んでいます。

そこで今回は、うつ病と関係がある便秘を引き起こす過敏性腸症候群の症状と、それに伴う便秘の解消法を詳しく解説します。

便秘とうつ病の関係

腸の症状である便秘と不安やメンタルと関係しているうつ病は一見遠い存在に感じますが、便秘の中にはうつ病と関係しているものがあります。

うつ病の原因の1つとされているのは、ストレスや不安です。一方、便秘を引き起こす「過敏性腸症候群」の原因の1つもストレスや不安、緊張だと考えられています。

つまり、ストレスや不安を強く感じてうつ病を患っている方は、過敏性腸症候群を発症する可能性もあるかもしれません。

うつ病と関係する「過敏性腸症候群」とは

では、うつ病と関係する「過敏性腸症候群」とはどんな疾患なのでしょうか。

過敏性腸症候群は、検査をしても腸に炎症や潰瘍などの異常が見つからないにも関わらず、腹痛や腹部の違和感、便通異常が起きる疾患です。

とくに10~20代の若い世代に多く見られ、全体の約1割の方が患っているともいわれているほど、有病率の高い疾患です。入学や就職、引っ越しなどライフスタイルが変化したときに、発症するケースが多いといわれています。

男性よりも女性のほうが悩んでいる方が多いのが特徴で、ストレスや不安、うつ病が原因の1つと考えられている疾患です。

また、過敏性腸症候群は「下痢型」「便秘型」「混合(交替)型」「分類不能型」の4つに分類されます。

以下で過敏性腸症候群の症状を詳しく解説します。

過敏性腸症候群の症状

「下痢型」「便秘型」「混合(交替)型」の3つの型別に、過敏性腸症候群の症状をチェックしていきましょう。以下で紹介する3つの症状に当てはまらない方は、「分類不能型」に分類されます。

症状を確認して、過敏性腸症候群の可能性があると感じる方は、早めに医療機関へ相談するようにしてください。

便秘型

便秘型は女性に多く見られ、慢性的な便秘、腹部の不快感や張りがあるのが特徴です。

便秘型はストレスや不安を感じると腸が緊張して、便を肛門のほうへ動かす「ぜん動運動」が低下するため、便が大腸に留まる時間が長くなります。

便は大腸に長く留まると過剰に水分が吸収されて硬くなるため、排便されにくい、残便感がある、コロコロとした便が出るなどの症状が出るでしょう。

下痢型

男性に多く見られるのが、1日に何度も激しい腹痛と水っぽい便が出る下痢型です。

外出時や仕事、学業において緊張を感じる場面で急にお腹がグルグル鳴り、激しい腹痛と下痢に襲われることもあります。排便後に腹痛が落ち着いても、再び繰り返すケースもあるでしょう。

また、下痢型は「大事なときにお腹が痛くなったらどうしよう」「トイレに間に合わなかったらどうしよう」など、過敏性腸症候群になったことで不安が増長し、再び腹痛がくることもあるため悪循環に陥りやすいです。

混合型

混合型は、腹部の不快感や腹痛を伴いながら、数日おきに激しい下痢と便秘を繰り返すのが特徴です。

便秘のときは腹部に張りを感じて、排便しようとしてもなかなか便が出ず、出ても小さな便しか出ないため残便感が残ります。

過敏性腸症候群に伴う便秘の解消法

過敏性腸症候群に伴う便秘を解消するポイントは、食事や運動など生活習慣の工夫、ストレス対策、薬物治療の3つです。以下で、過敏性腸症候群に伴う便秘解消を目指すための生活習慣のポイントを紹介します。

ただし、過敏性腸症候群の疑いがある場合はクローン病や潰瘍性大腸炎など、ほかの病気の可能性もあるので、まずは医療機関を受診するようにしてください。

食事に気をつける

過敏性腸症候群に伴う便秘の解消を目指すなら、生活のリズムを整えることも大切です。

食事は3食をなるべく同じ時間帯に摂り、食物繊維を豊富に含む野菜や海藻、きのこ類を意識して摂るようにしてみましょう。ヨーグルトや納豆など、腸内環境を整える働きがあるとされる発酵食品を摂るのもおすすめです。

ただし、ヨーグルトや食物繊維を含んだ食べ物も急にたくさん食べるのではなく、お腹の調子を見ながら摂取するようにしてください。水分摂取量も増やすのが望ましいですが、水も急激に摂取量を増やすのは避けましょう。

また、深夜の食事や暴飲暴食も避け、脂質の多い食事も控えるのがおすすめです。

なるべく休養する

過敏性腸症候群に悩んでいる場合、睡眠や休息は十分に取ることが大切です。休めるときには、しっかり休んでなるべく眠るようにしましょう。

睡眠の質を良くするために、寝る前はスマホやテレビを見ないようにして、寝る少し前から部屋を暗くして眠る準備をするのもおすすめです。

また、コーヒーなどに含まれるカフェインは、体を覚醒させる効果があります。カフェインは睡眠の質を低下させるといわれているため、夕方以降は摂取しないようにしましょう。

適度に運動する

適度な運動は、ストレスを軽減する効果があるといわれています。とくに便秘型の過敏性腸症候群の場合は、体を動かすことで腸の動きが活発になり、症状が緩和される可能性があります。

普段から運動不足を自覚している方は、できる範囲で体を動かすようにしてみてください。

リラックスできる時間をつくる

ストレスや緊張が原因の1つである過敏性腸症候群では、リラックスする時間をつくることも症状の改善につながります。

ぬるめのお風呂にゆっくり浸かる、趣味や好きなことをする時間をつくるなど、どんなことでも良いのでリラックスできることを実践してみてください。

便秘に悩む場合は医療機関

便秘の中には、うつ病やストレス、不安が原因の1つとされる「過敏性腸症候群」から引き起こされるものがあります。

慢性的な便秘、腹部の違和感や張りがあるなど、過敏性腸症候群の疑いがある方は、医療機関を受診してください。

過敏性腸症候群を改善するポイントは、生活習慣とストレスの対策です。食べるものにもできるだけ気をつけ、規則正しい生活を送りながら、リラックスできる時間をつくっていきましょう。

また、過敏性腸症候群に悩んでいる方は、十分に休養することも大切です。しっかり休養して体調を整えていきましょう。

白畑医師よりコメント
過敏性腸炎や便秘は重病ではありませんが、大きく生活の質を低下させる厄介な病気で、本人しか分からない辛さや不快感は精神的にも大きな負担となります。便秘や過敏性腸炎でお悩みの方は食事・運動・休養などをバランスよくとり、体調管理に注意しましょう。
監修者

医師:白畑敦
昭和大学医学部を卒業後、昭和大学藤が丘病院、市中病院で消化器外科医として勤務。大腸肛門病疾患でも研鑽を積み、2017年しらはた胃腸肛門クリニック横浜を開設。大腸疾患(内視鏡治療・便秘治療・炎症性腸疾患など)・肛門疾患(痔核手術・便失禁治療など)を専門分野として診療。