VOL.125 そばに便秘解消効果はある?含まれる成分と1日の摂取量の目安も解説
夏はざるそば、冬は温かいそばに年越しそばなど、そばは私たち日本人にとってとても身近な食べ物です。自宅だけでなくお店でそばを食べることもよくあるかもしれません。
今回は、そばは便秘解消に効果があるのか、どのような栄養素が含まれているのか解説します。そばの1日の摂取量の目安や、そば以外で便秘解消効果が期待できる食べ物も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
食べ物で解消を目指せる便秘の種類
ひと口に便秘といっても、便秘の原因はとても幅広く、全ての便秘が食べ物で解消を目指せるわけではありません。
便秘の種類を大きく分けると、「機能性便秘」と「器質性便秘」の2種類があります。
機能性便秘とは、大腸の形態的な変化を伴わない便秘で、主な原因は腸の動きや便を押し出す筋力の低下、食事や生活習慣の影響で便が排出されにくい状態になっていることなどが挙げられます。
一方、器質性便秘は大腸がんや腫瘍性疾患によって、大腸の形態的な変化を伴うものです。
食べ物で解消を目指せるのは、腸の動きや便が硬くなっていることを原因とする機能性便秘のみで、大腸の形態的な変化を伴う器質性便秘は解消することはできません。器質性便秘の可能性が考えられる方は、医療機関を受診しましょう。
そばに便秘解消効果はあるの?
そばには、便秘解消効果が期待できる食物繊維が含まれています。
日本人の成人に必要な1日の食物繊維量は、男性で21g以上、女性で18g以上とされています。
しかし、約1食分のそば100gに含まれている食物繊維の量は約2.9gなので、そばだけで1日に必要な食物繊維を摂取するのは難しいです。そのため、そばだけでなくほかの食べ物と合わせて食べるのが良いでしょう。
以下では、そばに含まれる栄養素の中で、便秘解消に関連する食物繊維とミネラルの1種であるマグネシウムについて解説します。
食物繊維
便秘解消に不可欠な栄養素といえば、「食物繊維」です。食物繊維には、水に溶ける性質を持つ「水溶性食物繊維」と、水に溶けない性質を持つ「不溶性食物繊維」の2種類があります。
不溶性食物繊維は、便の量を増やす、排便を促す大腸のぜん動運動を促進する働きが期待できます。一方、水溶性食物繊維は、便を柔らかくする、腸内環境を整える効果があるといわれています。
そばは不溶性食物繊維も水溶性食物繊維も含んでいる食べ物です。しかし、先述したようにそばだけで便秘解消を目指せるほどの食物繊維を摂取するのは難しいです。とくに水溶性食物繊維は少ししか含まれていないため、ほかの食べ物で補う必要があります。
マグネシウム
私たちの骨や細胞の中にも多く存在する「マグネシウム」は、筋肉を収縮させる、心臓や神経を正常に動かす、エネルギーをつくりだすなど、生きるために不可欠なミネラルです。
マグネシウムは現代人に不足しがちな成分といわれており、不足すると便秘や下痢、イライラするなどの精神症状、骨粗しょう症などの症状を引き起こす可能性があります。
そばにはお米の約3.5倍のマグネシウムが含まれています。
そばの1日の摂取量の目安
そばには体に良い栄養素が多く含まれていますが、そばばかりを食べると一緒に食べるつゆの影響で塩分の摂り過ぎになる、栄養が偏るなどの恐れがあります。
そばをたくさん食べると逆効果になるということはまだ報告されていませんが、そばは1日1食以内に留め、100~200g程度までにするのが望ましいです。どんなものも過度に摂取するのは良くないので、野菜やお肉、魚などバランス良く食べるようにしましょう。
そば以外に便秘解消を目指せる食べ物
そばは体に良い食べ物ですが、そばばかりを食べると栄養が偏ります。便秘解消を目指すなら、そばだけに頼らず、ほかの便秘解消の効果が期待できる食べ物もあわせて食べるようにしましょう。
以下ではそばとあわせて食べるのに、おすすめの食べ物を紹介します。
海藻類
わかめや昆布、もずくなどの海藻類には、そばの含有量が少ない水溶性食物繊維が豊富に含まれています。わかめならそばと一緒に食べるのにも良く、もずくや昆布はつけ合わせで食べるのにおすすめです。
水溶性食物繊維は海藻類のほかには、キャベツや大根などにも含まれています。大根おろしをそばと一緒に食べるのも良いでしょう。
イモ類
イモ類には不溶性食物繊維が豊富に含まれています。山芋や長芋はそばとも相性が良いので、とろろそばにして食べるのも良いですね。
そばと一緒に食べなくても、食後やおやつに焼き芋を食べるのもおすすめです。
キノコ類
しめじや舞茸などのキノコ類にも、不溶性食物繊維が豊富に含まれています。温かいそばを食べるときは、キノコをたっぷりトッピングして食べるのも良いでしょう。
そばに頼らず便秘解消を目指す方法
便秘解消を目指すなら、食べ物を工夫するだけでなく、生活習慣も見直すほうがより効果が期待できます。
以下では生活の中で手軽に取り入れられる便秘解消法を紹介します。そばに頼ることなく、便秘で悩まなくても良い体を目指しましょう。
こまめに水分を摂る
便の硬さは、摂取した水分量に左右されるため、水分補給は便秘解消を目指す大事なポイントです。摂取する水分が少ないと便が硬くなり、便秘になりやすくなります。
便秘解消を目指すために必要な1日の水分量の目安は2リットルといわれています。のどが渇いたと感じる前にこまめに水分を摂るようにしましょう。
また、水分補給はなるべく水や白湯で行ってください。利尿作用のあるお茶やコーヒーで、水分を摂っても尿になって排出されてしまう可能性があるので、なるべく避けましょう。
生活のリズムを整える
便秘解消を目指すには、十分な睡眠をとり、規則正しい生活を送ることが大切です。便は睡眠している間に直腸のほうへ運ばれるため、朝は便が出やすい状態になっているといわれています。
朝食を食べると胃腸が動き出します。朝食後は便意が起きやすいので、トイレに行く時間を設けるようにしましょう。
また、食事と睡眠をなるべく同じ時間にすることで、生活のリズムが整います。生活のリズムが整うと、少しずつ排便のリズムもできてくると考えられています。
規則正しい生活と朝食後のトイレタイムで、便秘解消を目指しましょう。
運動を習慣づける
運動不足や筋力の低下は、便秘の原因の1つといわれています。とくに、便を出すために必要な腹筋が弱いと、便を押し出せずに便秘になってしまう可能性があります。
便秘解消を目指すなら、自宅で簡単にできる腹筋を鍛える筋トレをするのも良いでしょう。広く知られている床に仰向けに寝転んで、膝を立てて体を起こす腹筋運動でも腹筋を鍛えられますので、ぜひ実践してみてください。
また、ウォーキングやジョギング、ヨガなどの全身運動も腸の動きを活発にして、便秘解消効果が期待できます。
運動は続けることが大切です。ご自身の好きな運動を無理のない範囲で行いましょう。
そばだけに頼らず便秘解消を目指そう!
そばは便秘解消効果が期待できる食物繊維やマグネシウムだけでなく、ほかにも体に良い成分が豊富に含まれている素晴らしい食材です。
しかし、そばだけで便秘解消を目指せるほどの食物繊維を摂るのは難しいので、ほかの便秘解消効果が期待できる食べ物を合わせてバランス良く食べるようしてください。
また、便秘に悩まなくても良い体をつくるためには、生活のリズムを整えたり運動したりと、生活習慣を見直すのも大切です。バランスの良い食事と生活習慣で健康的に便秘解消を目指していきましょう。