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VOL.122 【医師監修】キャベツは便秘改善効果が期待できる?おすすめのレシピも紹介

「排便した後なのにスッキリしない」「便が出なくて困っている」と、便秘に悩む方も多いのではないでしょうか。便秘になると、お腹の張りや痛みだけでなく、吹き出物などの肌トラブルや吐き気など不快な症状を伴うこともあります。

食事で便秘を改善したい方のなかには、キャベツに便秘改善効果があるのか気になっている方もいるのではないでしょうか。

この記事では、キャベツは便秘改善効果が期待できるのか解説します。また、キャベツ以外の便秘解消食材、キャベツを使ったおすすめの簡単レシピや、食べ物以外で便秘解消を目指す方法も紹介するのでぜひ参考にしてください。

便秘の種類

便秘には、大きく分けて2種類あります。

1つ目は「器質性便秘」です。器質性便秘は腸の狭窄や腫瘍性疾患など、大腸の形態的な変化によって引き起こされる便秘です。腫瘍や炎症によって、物理的に便の通過が障害されることが原因です。

2つ目は「機能性便秘」です。機能性便秘は腸の形態的な変化を伴わない便秘で、腸の機能低下や便が直腸に降りてきてもスムーズに排出されないことが原因で引き起こされます。

この2つの中で、食事で便秘改善を目指せるのは機能性便秘です。機能性便秘であれば、便秘解消に効果があるとされる食べ物を摂取することで、便や腸に良い影響を与え、悩みの解消へつながっていくでしょう。

キャベツは便秘解消効果が期待できる?

キャベツは、第六の栄養素ともいわれる「食物繊維」が含まれており、便秘解消効果が期待できる食材です。

食物繊維が便秘解消に役立つ理由は、主に2つあります。

1つ目は、食物繊維が小腸で消化・吸収されず大腸まで達するため、腸のお掃除役となることです。大腸内の環境を整え、便の体積を増やす効果が期待できます。

2つ目の理由は、食物繊維は大腸内で発酵・分解され、善玉菌のエサとなることです。善玉菌が増えて、腸内環境を整える効果に役立ちます。

また、食物繊維は以下で説明する「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」の2種類があります。

不溶性食物繊維とは

水に溶けにくい不溶性食物繊維は、水分を吸収して便の容積を増やす性質があります。便が増えると、大腸が刺激され、腸のぜん動運動を促す効果が期待できます。

また、腸内の不要物を吸着させて便と一緒に排出させるため、大腸ガンのリスク軽減にも役立つといわれています。

腸のぜん動運動の弱さから起こる便秘は、不溶性食物繊維を多く摂ると良いでしょう。キャベツの食物繊維はおおよそ1.8g (100g当たり)含まれており、その中でも不溶性食物繊維は1.4 gと、約7割以上が不溶性食物繊維です。

水溶性食物繊維とは

水溶性食物繊維は、水に溶けやすい性質があります。腸内で水分を含むとゲル状になり、便を柔らかくして排便を促す効果に役立ちます。

また、小腸での栄養素の吸収の速度をゆるやかにして、血糖値上昇の抑制も効果が期待できます。

キャベツに含まれる水溶性食物繊維は、100g当たり0.4gとそこまで多く含まれないため、別の食材で補うと良いでしょう。

キャベツ以外に便秘解消が期待できる食材

キャベツは不溶性食物繊維が豊富で、便秘の解消に役立つと考えられます。

しかし、1つの食材に偏って食べてしまうと、栄養バランスがくずれてしまう可能性があります。キャベツだけに頼らず、ほかの食材も毎日の食事にプラスすると良いでしょう。

以下では、キャベツ以外の便秘解消が期待できる食材を紹介します。

食物繊維が多い食材

便秘解消が期待できる食材として、食物繊維が多いものがおすすめです。

食物繊維は、現在ほとんどの日本人が不足しているといわれているため、便秘解消でなくても意識したい食品成分です。毎日の食事に上手に取り入れて、積極的に摂取するように心がけましょう。

以下で、食物繊維の多い食材を紹介します。

  • ・海藻類:ひじき、わかめ、昆布、もずく、海苔など
  • ・いも類:さつまいも、こんにゃく、やまいもなど
  • ・根菜類:ごぼう、たけのこ、レンコンなど
  • ・きのこ類:しいたけ、しめじ、エリンギ、舞茸など
  • ・果物類:バナナ、りんご、いちごなど
  • ・外皮ごと食べる穀物:玄米、全粒小麦など

発酵食品

発酵食品は、微生物のはたらきによって食品が変化(発酵)し、人間に有益な状態になった食品のことです。

発酵食品のメリットは2つあります。1つ目は発酵の過程で食品のうま味を引き出し、栄養価を高めて機能性成分が生まれ健康効果が高まることです。

2つ目は、発酵に使われる微生物(乳酸菌や酵母菌など)が腸内の善玉菌の数を増やし、腸内環境を整えるため便秘の解消に役立つことです。

キャベツに含まれる不溶性食物繊維と一緒に摂取することで、より便秘解消を目指すことにつながるため、ぜひ参考にしてください。

以下で、発酵食品の代表的な食材を紹介します。

  • ・チーズ(乳酸菌)
  • ・ヨーグルト(乳酸菌)
  • ・ぬか漬(乳酸菌)
  • ・甘酒(乳酸菌)
  • ・キムチ(乳酸菌)
  • ・納豆(納豆菌)
  • ・味噌(麹菌・酵母菌・乳酸菌)
  • ・鰹節(カツオブシカビ)

カッコの中は、発酵に使われている微生物の種類です。キャベツとともに、発酵食品も毎日の食生活に取り入れ、便秘解消を目指しましょう。

便秘改善効果が期待できるキャベツを使った簡単レシピ

ここまで解説してきたように、キャベツは食物繊維が豊富で便秘解消効果も期待できるので、便秘に悩んでいる方におすすめできる食材です。

以下ではキャベツを使った、簡単にできるレシピを2つ紹介します。

キャベツとベーコンのキムチスープ

キムチを使っていることで少しピリ辛なスープです。その辛さが献立のアクセントにもぴったりです。加熱でキャベツのかさが減ることで、食物繊維をたくさん摂取できます。発酵食品であるキムチとキャベツのWの効果で、便秘解消を目指しましょう。

<作り方>
2人分の場合、キャベツの葉2〜3枚、ベーコン10g、玉ねぎ1/4個、固形コンソメ1個、キムチ50gを材料として用意します。下ごしらえとして、ベーコンを1口大、玉ねぎはくし形にカットします。

まず、鍋にキャベツの葉をちぎって入れます。その鍋の中に、切ったベーコンと玉ねぎ、水400ml、固形コンソメを入れて火にかけます。

ぐつぐつ煮立ってきたら弱火にして、キムチを入れて完成です。

キャベツの梅酢昆布和え

塩もみしたキャベツを梅と塩昆布で和えて、酢とごま油をきかせてさっぱりと仕上げた一品です。

発酵食品である酢は酢酸菌を含んでおり、整腸作用に役立ちます。加熱不要で簡単に作れるので、忙しい日の副菜にいかがでしょうか。

<作り方>

2人分の場合、キャベツの葉2〜3枚、塩2つまみ、塩昆布5g、梅干し1個、ごま油大さじ2分の1、酢大さじ2分の1を材料として用意します。

下ごしらえとして、キャベツをザク切り、梅干しは種を取り包丁で細かくたたいておきましょう。

切ったキャベツに塩をふり、水気を絞ります。ボウルにキャベツと梅干し、塩昆布、ごま油、酢を入れてよく混ぜ完成です。

食べ物以外で便秘解消を目指す方法

便秘症の治療において生活習慣の改善は基本であり、食べ物以外も気をつけることが重要です。

以下では便秘解消を目指すための「生活のポイント」を紹介します。食事や生活習慣を見直しても便秘が改善されない場合は、医療機関を受診しましょう。

こまめな水分補給

こまめな水分補給は、便秘解消にとても効果的です。

なぜなら、水分摂取量は便の硬さや量に関係しており、水分で便がやわらかくなることで排便がスムーズになることが期待できるためです。

便秘解消を目指すなら、1日2リットルを目安に摂取してみましょう。

その際、一気に水分を摂っても尿として排出される割合が増えるだけなので「こまめに摂取する」ことが大切です。

また、水分の種類も重要で、利尿作用のあるお茶やコーヒーは注意が必要です。その理由は、摂取した水分が尿として排出されてしまい、便がかたくなってしまう可能性があるためです。なるべく水か白湯を飲むようにしましょう。

適度な運動

体を日常的に動かさない方は便秘になりやすい傾向にあります。その理由は、体を動かさないことで腹筋が衰えやすく、便を押し出すときに必要な力が足りなくなるためです。

運動不足と感じる方は、適度な運動を取り入れることで便秘解消が目指せるでしょう。

最初から過度なトレーニングをするとストレスになり、続けられない可能性もあるため、ウォーキングやストレッチ、ヨガなど、無理のない範囲で始めると良いでしょう。

規則正しい生活

規則正しい生活を心がけることは、便秘解消につながる重要なポイントです。その理由は、不規則な生活を送ることで自律神経が乱れて、便秘の原因になることがあるためです。

自律神経を乱れさせないためにも、まずは生活リズムを整えることが重要です。1日3食決まった時間に食事を摂る、同じ時間帯に入眠する、など生活リズムを整えていくと良いでしょう。

朝食後にトイレに座る習慣をつけると排便環境が整えられやすくなるので、ぜひ試してみてください。

また、しっかり睡眠をとることも自律神経を整える上で大切になります。十分な睡眠時間の確保も心がけましょう。

キャベツを上手に活用して便秘改善を目指そう

キャベツは、便秘解消効果が期待できる食物繊維が豊富に含まれており、便秘に悩んでいる方におすすめの食材です。

しかし、食べ過ぎると栄養が偏る可能性もあるため、キャベツだけでなく、ほかの食材もバランス良く摂ることが大切です。

便秘改善を目指すなら、食事だけでなく、こまめな水分補給、適度な運動、規則正しい生活など生活習慣も見直すようにしましょう。

それでも改善されない場合は、症状が重くなる前に医療機関を受診することをおすすめします。

白畑医師より
便秘に悩む方は生活習慣の改善や見直しに加えて食物繊維の多いキャベツを自分に合った方法で適度に接種し便秘予防に取り組んでいきましょう。
監修者

医師:白畑敦
昭和大学医学部を卒業後、昭和大学藤が丘病院、市中病院で消化器外科医として勤務。大腸肛門病疾患でも研鑽を積み、2017年しらはた胃腸肛門クリニック横浜を開設。大腸疾患(内視鏡治療・便秘治療・炎症性腸疾患など)・肛門疾患(痔核手術・便失禁治療など)を専門分野として診療。