VOL.124 【医師監修】キウイフルーツは便秘改善効果がある?栄養素や1日の摂取量の目安を
便が硬くてなかなか出なかったり、排便があってもスッキリしなかったりと、便秘で悩む方は多いかもしれません。
食事で便秘を改善したい方のなかには、キウイフルーツに便秘改善効果があるか、気になる方もいるのではないでしょうか。
今回は「キウイフルーツは便秘改善効果が期待できるか」「キウイフルーツの1日の摂取量の目安や食べるタイミング」などを紹介します。
キウイフルーツと一緒に食べると良い食品や、食事以外の便秘改善を目指す方法も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
キウイは便秘改善効果が期待できる?
キウイフルーツは、便秘改善効果が期待できる食品であるといえます。なぜなら、便秘改善に良いといわれる「食物繊維」が豊富に含まれているからです。
とくに、食物繊維の中でも「水溶性食物繊維」のペクチンの含有量は、フルーツの中でトップクラスです。そのほかにも、キウイフルーツには以下の栄養素が多く含まれているといわれています。
- ・ビタミンC
- ・ビタミンE
- ・マグネシウム
- ・カリウム
- ・有機酸(クエン酸やリンゴ酸など)
以下ではキウイフルーツに含まれる栄養素が、便秘改善にどのような影響をもたらすか説明します。
便をやわらかくして排便をうながす
キウイフルーツに含まれる水溶性食物繊維ペクチンは、便をやわらかくする作用が期待できます。なぜなら、水溶性食物繊維は水に溶けやすい性質をもつためです。
水溶性食物繊維は、腸内で水分を含むとヌルヌルとしたゲル状になり、便をやわらかくすることに役立ちます。
便がやわらかくなることで「便が硬くて出ない」という悩みを改善し、スムーズな排便を促す効果が期待できます。
腸内の善玉菌を増やす効果が期待できる
キウイフルーツに含まれる有機酸は、悪玉菌のはたらきを抑制し、腸内の善玉菌を増やすはたらきが期待できます。善玉菌が優位になり腸内環境が整うことで、便秘の改善に役立ちます。
また、水溶性食物繊維のペクチンも善玉菌を増やすサポートが期待できます。ペクチンは善玉菌のエサとなるため、善玉菌優位になり、整腸作用につながるといわれています。
さらに、善玉菌を増やすビタミンCや新陳代謝促進効果が期待できるビタミンEも含まれているため、キウイフルーツは便秘に悩む方におすすめの食材といえます。
キウイで便秘改善を目指せるのは「機能性便秘」
便秘には、大きく分けて2種類あります。
1つ目は「器質性便秘」です。器質性便秘は大腸の形態的変化を伴う便秘で、狭窄によって便が通過しにくくなったり、腸の拡張によって排便回数が減ったりする事が起こります。
2つ目は「機能性便秘」です。機能性便秘は腸の形態的変化を伴わない便秘で、腸の輸送する能力の低下により便が停滞し、便が硬くなることが原因です。
この2つの中で、キウイフルーツで便秘改善が目指せるのは機能性便秘です。機能性便秘であれば、便秘解消に効果があるとされる食べ物を摂取することで、便や腸に良い影響を与え、悩みの解消へつながりやすくなります。
キウイの1日の適切な摂取量と食べるタイミング
便秘改善を目指してキウイフルーツだけを食べ過ぎてしまうと、栄養バランスが崩れてしまう可能性があります。
以下では、キウイフルーツの1日の適切な摂取量や、おすすめの食べるタイミングを紹介します。
キウイの1日の適切な摂取量
厚生労働省と農林水産省が策定した食事バランスガイドでは、毎日200gの果物の摂取が望ましいとされています。
キウイフルーツは1個100gといわれているので、1日の摂取目安量は2個程度です。
果物は、果糖と呼ばれる単糖類が含まれており、摂りすぎると糖代謝を悪化させる可能性があります。適切な摂取量を意識し、食べ過ぎないようにしましょう。
キウイを食べるおすすめのタイミング
キウイフルーツは「朝」に食べることをおすすめします。その理由は、食物繊維豊富なキウイフルーツを朝に食べることで、腸のぜん動運動を促進しやすくなるためです。
朝に便意があることで、毎日規則正しく排便を行うことにつながりやすいので、便秘改善に役立ちます。
また、キウイフルーツの爽やかな風味は1日のスタートにぴったりです。皮をむかずハーフカットでさっと食べられるので、忙しい日にもおすすめです。
便秘改善のためにキウイとあわせて食べると良い食品
キウイフルーツと一緒に「乳酸菌」や「不溶性食物繊維」が豊富な食材を食べると、さらに便秘改善に役立つといわれています。
以下で具体的な食品を紹介します。
乳酸菌が含まれるヨーグルト
乳酸菌が豊富に含まれているヨーグルトは、酸味のあるみずみずしいキウイフルーツとも相性が良いのでおすすめです。
キウイフルーツの水溶性食物繊維ペクチンが乳酸菌のエサになるため、整腸作用が期待できます。便秘に悩んでいる方は、朝食にキウイフルーツ入りヨーグルトを摂り入れてみると良いでしょう。
不溶性食物繊維が含まれるイモ類
キウイフルーツは水溶性食物繊維が豊富ですので、ぜひ一緒に「不溶性食物繊維」も摂り入れましょう。
便のカサを増す効果が期待できる不溶性食物繊維が豊富な食材として、イモ類があげられます。さつまいもやジャガイモなどは、使い勝手も良く、サラダやスープなどに調理して、積極的に摂り入れると良いです。
キウイフルーツと一緒に、朝食のメニューの一品に追加すると、便秘改善に役立つかもしれません。
キウイだけに頼らず便秘改善を目指す方法
便秘の改善には、食べ物以外の生活習慣も気をつけることが重要といわれています。以下では便秘解消を目指すための「生活のポイント」を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
食事や生活習慣を見直しても便秘が改善されない場合は、医療機関の受診を検討しましょう。
1日3食、栄養バランスのとれた食事
1日3食を規則正しく摂取することで、体内リズムが整い排便習慣が整いやすいといわれています。とくに朝は体内リズムを整え、胃や腸を刺激し排便反射を促しやすくなるため、便秘改善のためにも毎日朝食を摂取しましょう。
また、偏った食事は、必要な栄養素を補給できず腸内環境が乱れてしまう可能性があります。主食、主菜、副菜、汁物といった、バランスの良い食事を意識すると良いでしょう。
こまめな水分補給
こまめな水分補給をすることで、水分で便がやわらかくなり、スムーズな排便が期待できます。
便秘解消を目指すなら、1日2リットルを目安に摂取してみましょう。その際、一気に水分を摂っても尿として排出される割合が増えるだけなので「こまめに摂取する」ことが大切です。
また、利尿作用の高いコーヒーや緑茶などは避け、なるべく水か白湯を飲むようにすることをおすすめします。
適度な運動
体を日常的に動かさない方は便秘になりやすいといわれています。その理由は、動かないことで腹筋が衰えやすく、便を押し出すときに必要な力が足りなくなるといわれているからです。
そのため「適度な運動を取り入れること」が便秘改善につながりやすいと示唆されています。
最初から過度なトレーニングをすると、ストレスになって断念してしまう可能性もあります。ウォーキングやストレッチ、ヨガなど、無理のない範囲で始めるといいでしょう。
キウイを上手に活用して便秘改善を目指そう
キウイフルーツは、便秘解消効果が期待できる食物繊維が豊富に含まれており、便秘に悩んでいる方におすすめの食材です。
しかし、食べ過ぎると栄養が偏る恐れもあるため、キウイフルーツだけでなくほかの食材もバランス良く摂ることが大切です。
便秘改善を目指すなら食事だけでなく、栄養バランスのとれた食事、こまめな水分補給、適度な運動など、生活習慣も見直すようにしましょう。
それでも改善されない場合は、症状が重くなる前に医療機関を受診することをおすすめします。
- 白畑医師よりコメント
- 便秘に悩む方は生活習慣の改善や見直しに加えて水溶性食物繊維・ビタミン・マグネシウムを豊富に含むキウイを自分に合った方法で適切に接種し便秘予防に取り組んでいきましょう。
- 監修者
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医師:白畑敦
昭和大学医学部を卒業後、昭和大学藤が丘病院、市中病院で消化器外科医として勤務。大腸肛門病疾患でも研鑽を積み、2017年しらはた胃腸肛門クリニック横浜を開設。大腸疾患(内視鏡治療・便秘治療・炎症性腸疾患など)・肛門疾患(痔核手術・便失禁治療など)を専門分野として診療。