VOL.79 【医師監修】便秘解消には夜ヨーグルトが効果的?食べる量やタイミングも解説
目次
「便秘解消には、ヨーグルトを食べるのが良い」というのは聞いたことがあるかもしれません。
しかし、実際には便秘に悩んでヨーグルトを食べても、効果が実感できなかったという方も少なくないのではないでしょうか。
その原因は、ヨーグルトを食べるタイミングと量にあるかもしれません。
ヨーグルトに含まれている乳酸菌は、便秘解消効果が期待できるとされていますが、実は胃酸の影響を受けやすく、生きたまま腸まで届きにくいと考えられています。
そこで、今回はヨーグルトが便秘解消に本当に効果が期待できるのか、また、夜ヨーグルトを食べると良いと言われる理由、ヨーグルトを食べる効果的なタイミング、効果を感じやすい摂取量など詳しく解説していきます。
便秘に悩んでいる方や、ヨーグルトを食べても効果を感じられなかった方も、効果的な方法を知って対策していきましょう。
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ヨーグルトは便秘解消効果が期待できる?
私たちの腸内には、約100兆もの腸内細菌が存在すると言われています。その腸内細菌のなかには、増えると腸内環境を整えてくれる「善玉菌」、人体に悪い影響を与える「悪玉菌」、そのどちらでもない「日和見菌」が存在します。
腸内細菌のバランスには個人差がありますが、だいたい善玉菌が約20%、悪玉菌が約10%、残りの約70%は日和見菌が占めていると言われています。
全体の約7割を占める日和見菌は、善玉菌と悪玉菌の優勢になっているほうの味方をするとされているのです。私たちは、この日和見菌が善玉菌の味方をするように、善玉菌の優勢状態を保つことが重要です。
そして、善玉菌の優勢を保つために役立つのが、ヨーグルトに含まれている「乳酸菌」です。乳酸菌は、善玉菌のエサになると言われており、ヨーグルトに豊富に含まれています。
ヨーグルトを摂ることが善玉菌の増加につながり、腸内環境を整えることにもつながっていきます。つまり、ヨーグルトには、便秘の解消・予防効果が期待できると言えます。
ただし、ヨーグルトに含まれる乳酸菌は、腸内にとどまっている「常在菌」ではなく、時間の経過とともに腸から出ていく菌なので、一定量を継続的に摂取する必要があります。
便秘の方がヨーグルトを食べるタイミング
先述したように、乳酸菌を豊富に含むヨーグルトには便秘解消効果が期待できますが、食べるタイミングによっては、その効果を十分に得られない可能性があります。
その理由は、腸内環境を整えるサポートをする乳酸菌にはさまざまな種類がありますが、多くが胃酸に弱いため、腸まで届かない場合があるからなのです。
例えば、ヨーグルトは空腹時に食べると、胃酸によって乳酸菌が溶かされてしまいます。乳酸菌を生きたまま腸に届けるためには、空腹時を避け、胃酸が薄くなっている食後に摂るのがおすすめです。
また、ヨーグルトは善玉菌を増やし、整腸作用が期待できるオリゴ糖で甘みをつけるのもおすすめです。オリゴ糖が多く含まれているハチミツも、手軽にヨーグルトの味をアレンジできるアイテムの1つです。
夜にヨーグルトを食べるのが便秘解消への近道?
ヨーグルトで腸内環境を整え、便秘解消をめざすなら、夕食後に食べるのがおすすめです。夜10時~深夜2時は、「腸のゴールデンタイム」と言われており、1日の中でもっとも副交感神経が優位に働き、腸が活性化するとされています。
夕食後にヨーグルトを摂取し、早めに就寝することで、腸のゴールデンタイムを最大限に生かし、寝ている間に善玉菌を増やす近道です。
ただし、寝る直前にヨーグルトを食べると、胃酸の影響を受けやすくなるだけでなく、太りやすくなるので、なるべく就寝する2時間前までに食べ終えるようにしましょう。
また、太ることが懸念される場合は、低脂肪のヨーグルトを食べるのもおすすめです。
●ヨーグルトとの相性を試すのも良い
スーパーなどに行くと、豊富な種類のヨーグルトが販売されていますが、ヨーグルトに含まれる乳酸菌もさまざまです。中には、何億もの乳酸菌を含んでいるものなどがあり、どれを選んだら良いのか迷ってしまう方も多いかもしれません。
ヨーグルトに含まれている乳酸菌の種類は商品によってさまざまなので、その菌との相性によっては、お腹に膨満感が出たり、ガスがたまったりする可能性があります。
ヨーグルトとの相性は、数日食べただけではわかりにくく、2週間ほど続けて、膨満感がない、バナナのような便が出る、便の量が増えたなどが確認できれば良い兆候と言えます。
しかし、ヨーグルトを食べ始めたときに膨満感が出る場合がありますので、朝ごはんのときに、ヨーグルトを食べて日中の活動が辛くなった場合は、夜だけ食べるようにして様子を見るほうが良いでしょう。
1種類試して便秘解消効果を感じられなかった場合でも、根気よく相性の良いヨーグルトを探してみてください。
便秘解消をめざすヨーグルトの理想の摂取量は200g
便秘に悩んでいる方には、すでにヨーグルトを食べているのに効果を感じられないという方もいらっしゃるかもしれません。
実は、ヨーグルトはただ食べているだけでは、効果を感じられない方が多い傾向があります。ヨーグルトを食べるタイミングだけではなく、摂取する量も便秘解消効果を得るためには重要です。
個人差や商品にもよりますが、一般的にヨーグルトは1日200g程度食べると便秘解消効果を感じる方が多いと言われています。
食べるタイミングは夕食後がおすすめですが、1度に200g食べるのが難しい場合は、朝食後と夕食後に100gずつ食べるのも良いでしょう。
ヨーグルトは、1日に小さいヨーグルト1つとか、100g程度しか食べていなかった方でも200g食べ続けたら効果が感じられるかもしれません。
夜ヨーグルトは便秘解消効果が期待できる
ヨーグルトで便秘解消をめざすなら、夕食後に200g食べるのがおすすめです。1日の中でもっとも腸が活性化する「腸のゴールデンタイム」を活用して、腸内環境を整えていきましょう。
ヨーグルトで腸内環境を整えたい場合は、食べる量やタイミングが重要で、空腹時に食べたり、摂取量が少なかったりすると、十分に効果が得られない可能性がありますので注意が必要です。
ただし、夜ヨーグルトを続けてもなかなか便秘が解消しない場合、便秘とともに辛い症状が出てしまった場合などは、早めに医療機関を受診するようにしてください。
- 白畑先生よりコメント
- 便秘に悩む方はヨーグルトで腸内環境を整え腸のぜん動運動を活発にしましょう。自分に合った摂取方法を生活に取り入れ便秘予防に取り組んでいきましょう。
- 監修者
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医師:白畑敦
昭和大学医学部を卒業後、昭和大学藤が丘病院、市中病院で消化器外科医として勤務。大腸肛門病疾患でも研鑽を積み、2017年しらはた胃腸肛門クリニック横浜を開設。大腸疾患(内視鏡治療・便秘治療・炎症性腸疾患など)・肛門疾患(痔核手術・便失禁治療など)を専門分野として診療。
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