VOL.78 【医師監修】ごぼうが便秘に良いと言われる理由は?主な成分と期待できる効果を解説
便秘になるとお腹にハリを感じたり、腹痛を感じたりとさまざまな不快感を伴うことがあります。
このような辛い症状が起こらないためには、日ごろの食生活を見直す必要があります。
今回は便秘に良いといわれている「ごぼう」について紹介します。便秘にお悩みの方はぜひ参考にしてください。
ごぼうに便秘解消効果はあるの?
ごぼうには、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類の食物繊維が含まれています。食物繊維は便秘解消に欠かせない栄養素で、ごぼうは食物繊維の含有量が野菜のなかでもトップクラスです。
食物繊維は胃や腸で消化されずに大腸まで届き、便のカサを増して大腸の粘膜を刺激、ぜんどう運動を促して便を出しやすくします。
食物繊維が不足していることによる便秘であれば、ごぼうを摂取することで、便秘解消につながる可能性があるため、積極的に摂っていきたい食品です。
ただし、ごぼうだけに頼らず、栄養バランスのとれた食事を心がけましょう。
ごぼうに含まれている主な成分
ごぼうにはどのような成分が含まれているのか、なぜ便秘解消効果が期待できるのか、わからない方も多いかもしれません。以下ではごぼうに含まれている主な成分を紹介します。
●不溶性食物繊維
不溶性食物繊維は、水に溶けにくい性質を持つ食物繊維の一種で、便量を増やす働きと、便量が増えたことによる大腸への刺激で便を排出するぜん動運動を活発にする効果が期待できます。
●水溶性食物繊維
水溶性食物繊維は、水に溶けやすい性質を持つ食物繊維です。便の水分量を増やし、柔らかくする効果が期待できます。
腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を整える働きをするとも言われており、ごぼう以外にはかぼちゃ、オクラ、ヤマイモにも豊富に含まれています。
また、ごぼうの中には「イヌリン」という水溶性食物繊維が含まれています。イヌリンは腎臓機能を高める効果、血糖値を下げる効果、利尿作用もあると言われているので、積極的に摂取したい食物繊維です。
●炭水化物
炭水化物も便秘解消に必要な栄養素です。三大栄養素の1つで体にとって必要なエネルギー源なので、ご存じの方も多いかもしれません。
炭水化物は糖質と食物繊維で構成されており、主に、ご飯、パン、麺類、イモ類に含まれています。
●カルシウム
カルシウムは、骨や歯に多く含まれるミネラルで、体を構成するだけでなく、ホルモン分泌の調整、気分を安定させる、などの効果が期待できます。
肉や牛乳、チーズなどに含まれているが、日本人はもともと摂取が少ないためカルシウム不足になりがちです。
さらに、加齢とともに吸収率が悪くなると言われているので、カルシウムが不足していると感じる方は積極的に摂取すると良いでしょう。
●マグネシウム
ミネラルの一種であるマグネシウムは、心臓や腎臓、骨などに存在しています。
また、神経や筋肉が機能するために必要な成分のため、不足すると神経障害や筋肉の過度な収縮などを引き起こす可能性があります。
マグネシウムはごぼうのほかに、藻類や魚介類、豆類などに多く含まれています。
カルシウムと同時に、日本人の摂取量は不足気味な傾向にあるので、積極的に摂取しましょう。
●ポリフェノール(サポニン)
ごぼうの「あく」と呼ばれる黒いところには、サポニンというポリフェノールの一種が含まれています。
サポニンは血管に留まっているコレステロールを除去したり、血中の脂質を低減したりする働きが期待できるので、便秘だけでなく健康の維持としても積極的に摂取したい栄養素です。
サポニンはマメ科の根や茎に多く含まれており、お茶や高麗人参にも含まれています。
ごぼう茶を取り入れるのもおすすめ
ごぼうをたくさん摂るのが難しい場合は、ごぼうで作られたごぼう茶を飲むのも1つの方法です。
ごぼう茶は商品によって異なりますが、基本的にごぼうの風味を強く感じられる傾向にあるため、ごぼうの風味が好きな方にはおすすめです。
便秘の方がごぼうを食べる際の注意点
ごぼうは、食物繊維が豊富に含まれているので、摂り過ぎると下痢になる可能性があります。便秘を解消しようとたくさん摂っても逆効果です。適切な量の摂取を心がけましょう。
日本人の場合、成人では食物繊維を一日24g以上、1,000キロカロリーあたり14g以上摂取するのが理想と言われています。
適正量を考えながら摂取してみましょう。
ごぼうを食べても便秘が解消されない場合は医療機関へ
食物繊維が豊富でイヌリンも含まれているごぼうは、便秘解消効果が期待できるので、便秘気味で悩んでいるなら、積極的に摂取しましょう。
ただし、ごぼうだけに頼るのは逆効果になることもあるため、生活習慣の改善を優先的に行うほうが良いでしょう。食生活の改善を意識しても、便秘が解消されない場合は疾患の可能性もあるので、医療機関を受診することも検討してください。
便秘解消効果に期待ができるごぼうを参考に、日々の食事を見直してみてはいかがでしょうか。
- 白畑先生よりコメント
- 便秘に悩む方は食物繊維が豊富に含まれるごぼうを、自分に合ったやり方で積極的に摂取し便秘予防に取り組んでいきましょう。
- 監修者
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医師:白畑敦
昭和大学医学部を卒業後、昭和大学藤が丘病院、市中病院で消化器外科医として勤務。大腸肛門病疾患でも研鑽を積み、2017年しらはた胃腸肛門クリニック横浜を開設。大腸疾患(内視鏡治療・便秘治療・炎症性腸疾患など)・肛門疾患(痔核手術・便失禁治療など)を専門分野として診療。