VOL.167 【医師監修】お腹のガス抜きが即効でできるツボを紹介!張る原因と改善方法を紹介
お腹にガスが溜まって苦しい思いをした経験がある方は多いかもしれません。
お腹に溜まったガスは、ある「ツボ」を刺激することで効果があるといわれているので、試してみましょう。
今回は、お腹にガスが溜まる原因とガス抜きができるツボ、ツボ押し以外でガス抜きをする方法、お腹にガスが溜まるのを防ぐ方法を紹介します。
お腹の張りに悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
お腹にガスが溜まる原因
お腹にガスが溜まる原因はさまざまです。
例えば、食事中に空気を飲み込んでいる、便秘である、肉類やにんにくを食べすぎている、何らかの疾患が隠れている(過敏性腸症候群・大腸がん・慢性胃炎・機能性ディスペプシア)、運動不足である、ストレスによって無意識に息を呑んでいる、といったことがあげられます。
主に、飲食時に空気を一緒に飲みこんでいることが原因なのですが、腸の中でガスが異常に産生されていたり、ガスを排出するための腸の動きが停滞していたり、ガスの排出経路が障害されたりしている、というのがお腹にガスが溜まる原因といわれています。
お腹のガス抜きに即効性のある7つのツボ
お腹のガス抜きに即効性が期待できる「ツボ」を紹介します。お腹にガスが溜まって苦しいときには、下図に示すツボを押してみると、腸の動きが促されてガスの排出効果を実感できるかもしれません。
ツボ押しはリラックスした状態で行うのがポイントです。また、ツボを強く押しすぎると筋繊維を傷つけるおそれがあります。
ツボは痛くない程度の力でゆっくり優しく押すようにしましょう。
1. 腸の働きを整えるには「大腸兪(だいちょうゆ)」
「大腸兪」は腸の働きを整えるツボです。背骨と骨盤が交わる箇所から両側2cmほどのところにあります。
お腹にガスが溜まる原因となる便秘や下痢を改善するように導いてくれるツボとして有名です。このツボに親指を当て、背骨の方向に向かって5~10秒押して、ゆっくりと離していきましょう。
2. 便秘・お腹の張りには「腹結(ふっけつ)」
「腹結」は便秘・下痢、お腹の張りを改善に導くツボです。おへそから指1本下、横に指4本分の位置にあります。
3. 便秘を始めとした全身の不調には「関元(かんげん)」
「関元」は腸の働きを活発にして、お腹にガスが溜まる原因となる便秘を改善に導くツボで、「丹田(たんでん)」とも呼ばれます。
おへそから指4本分下の位置にあります。このツボは便秘だけでなく、全身の調子を整えるツボでもあります。
4. 胃もたれ・便秘・お腹の張りには「天枢(てんすう)」
「天枢」はお腹の張り・消化不良・腹痛の症状を緩和するツボです。おへそから左右指3本分の場所にあります。
5. お腹の張り・生理痛には「大巨(ダイコ)」
「大巨」は下腹部の膨満感、生理痛や生理不順などの改善を促すツボです。おへそから左右指3本分の場所からさらに指3本分下がった場所にあります。
6. 便秘・お腹の張り・精神安定には「間使(かんし)」
「間使」は便秘やお腹の張りの緩和、精神の安定を促すツボです。腕の内側にあるツボで、手首から指4本分の場所にあります。
ここのツボに親指を当てて、ほかの指で腕を支えるようにして2~3分もむように刺激してあげましょう。
7. 胃もたれ・胃痛・消化器症状には「豊隆(ほうりゅう)」
「豊隆」は消化器官の症状の緩和を促すツボです。すねの少し外側で、膝と足首の中間地点にあります。
このツボは6秒×5回程度押すと良いといわれています。
ツボ以外でガス抜きをする方法
ツボ押し以外にも、腸に溜まったガス抜きを実感できる方法があります。
主なものに、マッサージ、ストレッチ、有酸素運動があります。それぞれの方法について、以下で詳しく解説します。
マッサージ
ガス抜きには腹部マッサージがおすすめです。
仰向けに寝て、腹部を正面から見て、おへその位置から「の」の字を書くイメージでマッサージするようにします。
親指以外の指4本を使い、約30秒間、ゆっくりと優しくマッサージしてみましょう。便秘や腸にガスが溜まっているときに行いましょう。このマッサージは高齢者などでも寝ながら簡単に行うことができる解消法です。
ストレッチ
ガス抜きにはストレッチも有効です。ストレッチにより腹部に刺激を与えると、お腹に溜まったガスが排出されやすくなります。
そのストレッチ方法を2つ紹介します。順番は以下のとおりです。
<ストレッチの方法1>
- 1.仰向けになる
- 2.片方の膝を曲げ、両手を添えてお腹の上に引き寄せる
- 3.腰を伸ばして10~15秒程度そのままの状態をキープし、深呼吸する
- 4.反対側も同様に行う
<ストレッチの方法2>
- 1.仰向けになる
- 2.片方の膝を曲げる
- 3.反対側の手を曲げた膝に添えて、もう片方の手は床に置く
- 4.膝を反対側の床に倒し、10~15秒そのままの状態をキープする(顔は倒した膝の反対方向を見る)
- 5.反対側も同様に行う
有酸素運動
ガス抜きには有酸素運動も有効です。運動をすると全身の血液循環が促され、腸の動きが活発化します。
腸の動きが活発になることで、お腹にガスが溜まる原因となる便秘が改善されます。
また、ストレスによって腸の動きが鈍り、お腹にガスが溜まる場合もありますが、運動はストレス解消にもなるので、腸の動きを正常に近づけ、ガス抜きの効果も期待できます。
お腹にガスが溜まるのを予防する方法
お腹に溜まったガスを解消する以前に、ガスが溜まるのを極力防ぐことができれば、ガス溜まりで苦しむことは少なくなります。
以下では、お腹にガスが溜まりにくくなる方法法を紹介するので、ガス溜まりで苦しんでいる方は日常生活に取り入れてみてください。
食事の内容や仕方を見直す
お腹にガスが溜まるのを防ぐには、食事の内容や食事の仕方を見直す必要があるかもしれません。
例えば、早食いや噛む回数が少ない方は、食べ物と一緒に空気を飲み込みやすいので、お腹にガスが溜まりやすい食べ方をしているといえます。ゆっくりと噛んで食べることを心がけることで、お腹にガスが溜まりにくくなります。
また、肉類やにんにく、繊維質が多い食品を食べすぎると、胃や小腸で消化・分解しきらずに大腸で分解されるようになります。そうすると、大腸内でガスが発生し、ガスが溜まりやすくなります。肉類に限らず動物性蛋白質の多い食事やにんにくを摂ることでガスのにおい(おなら)も臭くなりがちです。
繊維質の多い食事は便秘改善にも一役買ってくれるのですが、摂りすぎは禁物です。ガスが発生してお腹に溜まりやすくなるため、お腹が張った感じがする場合は繊維質の多い食べ物の摂取量を減らしてみましょう。
ほかにも、炭酸飲料やビールは飲み物のなかに炭酸ガスが溶け込んでいるので、摂取することでお腹にガスが溜まりやすくなります。炭酸飲料やビールなどの飲み物を過度に飲むことは控えるようにしましょう。
規則正しい生活を心がける
お腹にガスが溜まるのを予防するには、規則正しい生活を心がける必要があります。自律神経が乱れると腸の動きが弱まるので、ガスが溜まったり、便秘になりやすくなったりします。
生活リズムを規則正しくして、睡眠をしっかり取る、朝昼晩の3食をきちんと摂ることを心がけましょう。
また、トイレに行く時間も毎日同じタイミングにすることが望ましいです。
朝ごはんを食べた後にはトイレに行くなど、毎日同じ時間帯にトイレに行って排便を試みることで、便通のリズムも整い、腸に溜まったガスも一緒に排出されるようになっていきます。
ストレスを溜めない
お腹にガスが溜まるのを予防するには、ストレスを溜めないようにすることも必要です。
ストレスが溜まると食べ物の消化が悪くなったり、腸の運動が弱まったりするので、お腹の張りを感じやすくなります。
運動して体を動かしたり、趣味の時間をつくったりして、ストレスを溜めないようにしましょう。
酸化マグネシウム便秘薬を試してみる
便秘に悩んでいる方がお腹にガスが溜まるのを予防する際には、酸化マグネシウム便秘薬を試してみましょう。便秘を放置しているとお腹にガスが溜まりやすくなります。
便秘は食事や運動、生活習慣の改善によって根本から治す必要があります。しかし、根本から治すには時間がかかるため、酸化マグネシウム便秘薬も使いながら便秘の症状を改善していくと良いでしょう。
便通のリズムが整ってくると、腸に溜まった便もガスが定期的に排出されていくようになります。
酸化マグネシウム便秘薬は、5歳~高齢の方まで幅広く使用でき、市販薬(第3類医薬品)としてドラッグストアなどで入手することが比較的容易です。
酸化マグネシウム便秘薬は腸内に水分を引き寄せて便をやわらかくし、便が水分で膨らむことで腸の運動を促してくれるので、自然な排便に近く、体に負担をかけにくいのが特徴です。
ただし、酸化マグネシウム便秘薬を初めて服用する方や、ほかの薬を飲んでいる方は、医師や薬剤師にあらかじめ相談するようにしましょう。
なお、健栄製薬の「酸化マグネシウムE便秘薬」は、オンラインショップで購入可能です。薬局やドラッグストアへ足を運ぶことが難しい方は、オンラインショップでの購入もご検討ください。
https://kenei-online.shop/collections/ebenpi
ツボでお腹のガス抜きをしつつ根本からの改善を目指そう
お腹のガスが溜まる原因はさまざまです。食事中に空気を飲み込んでいる、便秘、肉類やにんにくの食べ過ぎ、運動不足やストレスが主な原因です。
また、ほかの疾患が隠れている可能性もあるため、放置しないようにしましょう。
ガス溜まりを緩和する方法の1つとしてツボ押しがあります。今回紹介したツボを刺激してお腹の張りを改善してみましょう。
ツボ押しのほかにも、腹部のマッサージやストレッチ、全身を使った有酸素運動でお腹の張りが改善されることもあります。
ツボ押しやそのほかの方法でガス溜まりを緩和させつつ、お腹にガスが溜まる根本の原因を解消するようにしましょう。
- 高山医師よりコメント
- ツボはWHOにも部位が国際標準化されるなど科学的根拠の探求がなされています。私自身は知識がありませんが、個人的にツボ押しによる効果を実感することもあります。生活習慣の改善と合わせ無理なく利用されてみてはいかがでしょうか。
- 監修者
-
医師:高山 哲朗
かなまち慈優クリニック 理事長
平成14年慶應義塾大学卒業、慶應義塾大学病院、北里研究所病院、埼玉社会保険病院等を経て、平成29年 かなまち慈優クリニック院長。医学博士。日本内科学会総合内科専門医。日本消化器病学会専門医。日本消化器内視鏡学会専門医。日本医師会認定産業医。東海大学医学部客員准教授。予測医学研究所所長。